
「赤ちゃんが生まれて幸せなはずなのに、なぜか涙が止まらない」
「理由もなくイライラして、夫や赤ちゃんに当たってしまう」
「赤ちゃんを可愛いと思えない自分は、母親失格なのではないか…」
出産という大仕事を終え、新しい家族を迎えた喜びも束の間、このような辛い気持ちに押しつぶされそうになっていませんか?
もしあなたが今、暗いトンネルの中で一人ぼっちだと感じているなら、まず知ってください。その気持ちは、決してあなたのせいではありません。 それは「産後うつ」という、誰にでも起こりうる“病気”のサインかもしれません。
産後うつは、日本では産後の女性の約10%が経験すると言われています。つまり、10人のお母さんがいれば、そのうちの1人が同じように苦しんでいるのです。決して特別なことでも、「気持ちが弱い」からでも、「甘え」でもありません。
この記事は、今まさに産後うつで苦しんでいるあなた、そして「妻の様子がおかしい…どうしたらいいんだろう?」と悩んでいるパートナーやご家族のために書きました。
あなたのペースで、気になるところから読んでみてください。大丈夫、あなたは一人ではありません。一緒に、回復への一歩を踏み出しましょう。
↓↓↓↓↓

第1章:これって産後うつ?まず知っておきたい基本
「なんだか気分が落ち込む…」と感じたとき、それが一時的なものなのか、それとも専門的なケアが必要な状態なのか、判断するのは難しいですよね。まずは産後うつの基本的な知識を整理しましょう。
産後うつと「マタニティブルーズ」の決定的な違い
産後の気分の落ち込みとしてよく聞かれる言葉に「マタニティブルーズ」があります。この二つは似ているようで、全く異なるものです。
(ここに「産後うつ」と「マタニティブルーズ」の比較表を挿入)
マタニティブルーズ | 産後うつ | |
発症時期 | 産後2〜3日から10日頃 | 産後数週間〜数ヶ月後が多い(1年以内) |
期間 | 通常2週間以内に自然に治まる | 2週間以上、症状が続く |
原因 | 急激なホルモン変動が主な原因 | ホルモン変動に加え、環境や心理的要因が複雑に絡み合う |
症状 | 気分の浮き沈み、涙もろさ、不安感など一過性のもの | 持続的な気分の落ち込み、無気力、不眠、食欲不振、希死念慮など日常生活に支障が出る |
治療 | 通常は不要。 周囲のサポートや休息で改善 | 専門的な治療が必要。 放置すると悪化・長期化する恐れ |
一番の大きな違いは「期間」です。マタニティブルーズは、多くの産後女性が経験する一過性の気分の波で、産後2週間ほどで自然と落ち着いていきます。
しかし、その不調が2週間以上続いている、あるいはどんどん悪化している場合は、産後うつの可能性があります。マタニティブルーズの延長線上に産後うつがあるわけではなく、産後うつは明確な治療が必要な「病気」なのです。
産後うつの主な症状とは?【精神的・身体的症状】
産後うつは、心だけでなく体にも様々なサインとなって現れます。以下のような症状が複数当てはまる場合は注意が必要です。
《精神的な症状》
- 一日中、気分が落ち込んでいる、憂うつ
- 今まで楽しめていたことに興味が持てない、喜びを感じない
- 理由もなく涙が出る、涙もろくなった
- 常に不安で、いてもたってもいられない
- イライラして、怒りっぽくなる
- 集中力や思考力が低下し、物事を決められない
- 自分はダメな母親だ、価値のない人間だと感じる(強い罪悪感・自己否定)
- 社会から孤立しているような孤独感
- 赤ちゃんを可愛いと思えない、お世話をするのが苦痛
- 赤ちゃんに危害を加えてしまうのではないかという恐ろมい考えが浮かぶ
- 「消えてしまいたい」「死んでしまいたい」と考える(希死念慮)
《身体的な症状》
- 眠れない(寝つきが悪い、夜中に何度も目が覚める、早朝に目が覚める)
- 寝すぎてしまう(過眠)
- 食欲が全くない、または食べ過ぎてしまう
- 何をしても疲れが取れない、常に体がだるい
- 頭痛、めまい、動悸、吐き気、腹痛など原因不明の体の不調
特に「気分が落ち込む」「何にも興味が持てない・楽しめない」という2つの症状は、うつ病の中核的な症状です。これらの症状が2週間以上続いている場合は、専門家への相談を強くお勧めします。
自分でできる「産後うつセルフチェックリスト」
イギリスで開発された「エジンバラ産後うつ病質問票(EPDS)」を参考に、ご自身の状態をチェックしてみましょう。これは診断ではありませんが、客観的に自分の状態を把握する手がかりになります。
【過去7日間のあなたの気持ちに、最も近いものを選んでください】
- 笑うことができたし、物事の面白い面もわかった
- (0) いつもと同じようにできた
- (1) あまりできなかった
- (2) 明らかにできなかった
- (3) 全くできなかった
- 物事を楽しみにして待った
- (0) いつもと同じようにできた
- (1) あまりできなかった
- (2) 明らかにできなかった
- (3) 全くできなかった
- 物事がうまくいかないと、自分を不必要に責めた
- (3) はい、たいていそうだった
- (2) はい、時々そうだった
- (1) いいえ、あまりなかった
- (0) いいえ、全くなかった
- 理由もないのに不安になったり、心配したりした
- (3) はい、しょっちゅうあった
- (2) はい、時々あった
- (1) いいえ、あまりなかった
- (0) いいえ、全くなかった
- 理由もないのに恐怖感やパニックに襲われた
- (3) はい、かなりしばしばあった
- (2) はい、時々あった
- (1) いいえ、あまりなかった
- (0) いいえ、全くなかった
- することが多くて、大変だと感じた
- (3) はい、たいてい対処できなかった
- (2) はい、時々対処できなかった
- (1) いいえ、いつもと同じように対処できた
- (0) いいえ、たいてい対処できた
- 不幸な気分で、眠りにくかった
- (3) はい、たいていそうだった
- (2) はい、時々そうだった
- (1) いいえ、あまりなかった
- (0) いいえ、全くなかった
- 悲しくなったり、惨めになったりした
- (3) はい、たいていそうだった
- (2) はい、かなりしばしばあった
- (1) いいえ、あまりなかった
- (0) いいえ、全くなかった
- 不幸な気分だったので、泣いてしまった
- (3) はい、たいていそうだった
- (2) はい、かなりしばしばあった
- (1) いいえ、時々あっただけだ
- (0) いいえ、全くなかった
- 自分自身を傷つけるという考えが浮かんできた
- (3) はい、かなりしばしばあった
- (2) はい、時々あった
- (1) ほとんどなかった
- (0) 全くなかった
【結果の目安】
合計点数が9点以上の場合、産後うつの可能性があります。特に、10番目の質問で「0」以外を選んだ方は、点数に関わらず、できるだけ早く専門機関に相談してください。これはあくまで目安です。点数が低くても、ご自身が「辛い」と感じていれば、それは助けを求めるべきサインです。
↓↓↓↓↓


第2章:なぜ私が?産後うつの4つの主な原因
「どうして私がこんなことに…」と自分を責めてしまうかもしれません。しかし、産後うつは特定の誰かがなるものではなく、様々な要因が複雑に絡み合って発症します。主な原因を知ることで、自分を責める気持ちが少し和らぐはずです。
原因1:ホルモンバランスのジェットコースター
妊娠中は、女性ホルモンである「エストロゲン」と「プロゲステロン」が、胎盤から大量に分泌され、高い数値を維持しています。これらは妊娠を維持し、母体を守るために不可欠なホルモンです。
しかし、出産と同時に胎盤が排出されると、これらのホルモン値は一気に急降下します。その変動幅は、まるでジェットコースターのよう。この急激な変化に脳が対応しきれず、情緒が不安定になり、うつ状態を引き起こす大きな引き金となります。これは、月経前にイライラしたり落ち込んだりする月経前症候群(PMS)の比ではない、劇的な変化なのです。
原因2:壮絶な身体的ダメージと睡眠不足
出産は、全治2ヶ月の交通事故に遭ったのと同じくらいのダメージを体に負わせると言われています。会陰切開の傷、帝王切開の傷、骨盤の歪み、大量の出血…。体はボロボロの状態です。
それにも関わらず、母親には休む暇がありません。2〜3時間おきの授乳、オムツ替え、寝かしつけ…。慢性的な睡眠不足は、心身の健康を蝕む最大の敵です。正常な判断力を奪い、気分の落ち込みやイライラを増幅させます。これは拷問の一種と言われるほど、人間にとって過酷な状況なのです。
原因3:「母親」という役割へのプレッシャーと孤独感
「母親なのだから、赤ちゃんのことを一番に考えなければ」
「いつも笑顔で、優しくなければ」
「育児も家事も完璧にこなさなければ」
こうした「〜べき思考」が、自分自身を追い詰めていませんか? SNSで見るキラキラした育児風景と、目の前の現実とのギャップに苦しむ人も少なくありません。
また、産後はそれまでの仕事や友人との関係が変化し、赤ちゃんと二人きりで家にこもりがちになります。誰とも話さず一日が終わることも珍しくありません。こうした社会からの孤立感は、孤独を深め、うつ状態を悪化させる大きな要因となります。
原因4:パートナーとの関係性の変化
赤ちゃんが生まれると、夫婦の関係は「恋人」から「育児を共にするチーム」へと変化します。この変化に対応できず、すれ違いが生じることも少なくありません。
- 夫は以前と変わらず仕事や飲み会に行くのに、自分だけが生活の全てを制限されていると感じる
- 育児の大変さを理解してもらえず、「手伝おうか?」という一言に傷つく
- 会話が減り、お互いを気遣う余裕がなくなる
こうしたパートナーとのコミュニケーション不足や役割分担の不満は、母親の孤独感をさらに強め、産後うつのリスクを高めます。
これらの原因は、どれか一つではなく、複数絡み合っていることがほとんどです。あなたの辛さは、あなたのせいではなく、こうした不可抗力とも言える要因が重なった結果なのです。

第3章:【ママ本人へ】辛いと感じたら、まずやるべき4つのステップ
「もう限界かもしれない…」そう感じたら、どうか一人で抱え込まないでください。ここからは、辛い状況から抜け出すための具体的なステップをご紹介します。
Step 1:自分を責めない。「病気なのだ」と認める
一番大切なことは、「これは自分の性格や気合の問題ではなく、ホルモンと疲労が原因の“病気”なのだ」と認識することです。
風邪をひいたら、栄養をとって暖かくして休みますよね。骨折をしたら、病院に行ってギプスをしてもらいますよね。産後うつもそれと同じです。心のエネルギーが枯渇し、脳が正常に機能しなくなっている状態なのですから、適切な休息と専門的な治療が必要です。
「母親失格だ」なんて、絶対に思わないでください。むしろ、これだけ過酷な状況で、今まで必死に頑張ってきたご自身を、まずは認めてあげましょう。
Step 2:勇気を出して、誰かに「辛い」と話す
孤独は、産後うつを悪化させる最大の敵です。ほんの少し勇気を出して、あなたの「辛い」という気持ちを言葉にしてみてください。
- パートナー(夫): 最も身近な存在です。この記事の第5章を一緒に読んでもらうのも良いでしょう。
- 自分の親や義理の親: 頼れるのであれば、甘えてみましょう。「少し休みたいから、1時間だけ赤ちゃんを見ててほしい」とお願いするだけでも構いません。
- 友人: 同じように子育て中の友人なら、気持ちを分かち合えるかもしれません。
「迷惑をかけたくない」「心配させたくない」という気持ちは一旦横に置いて、あなたのSOSを発信することが、回復への最初の大きな一歩になります。
Step 3:専門家を頼る【具体的な相談先リスト】
家族や友人に話すのが難しい場合や、話しても状況が改善しない場合は、迷わず専門家を頼りましょう。プロに相談することは、決して恥ずかしいことではありません。
(ここに相談している女性のイラストなどを挿入)
- 産婦人科・助産院: まずは、出産したかかりつけの産婦人科に相談してみましょう。産後の母親の心身の変化に最も詳しい専門家です。必要であれば、適切な専門機関を紹介してくれます。
- 心療内科・精神科: うつ病治療の専門家です。「精神科」と聞くとハードルが高いと感じるかもしれませんが、心の風邪を治しに行く場所です。カウンセリングや、必要に応じた薬の処方など、専門的な治療が受けられます。
- 地域の保健センター・子育て世代包括支援センター: すべての市区町村に設置されています。保健師や助産師が、無料で相談に乗ってくれます。電話相談や家庭訪問など、あなたの状況に合わせたサポートを提供してくれます。母子手帳に連絡先が記載されているはずです。
- NPO法人などの相談窓口:
- 認定NPO法人 マドレボニータ: 産後ケアプログラムを提供しています。
- NPO法人 こころのサポートセンター: 電話やSNSでの相談に応じています。
- オンラインカウンセリング: 自宅にいながら、スマホやPCで専門のカウンセラーに相談できます。「cotree(コトリー)」や「Unlace(アンレース)」など、様々なサービスがあります。
「どこに相談すればいいかわからない」という場合は、まずはお住まいの市区町村の保健センターに電話してみてください。 そこから、あなたに合った支援につないでくれます。
Step 4:治療法を知る(カウンセリングと薬物療法)
専門機関では、主に「精神療法(カウンセリング)」と「薬物療法」を組み合わせて治療を行います。
- 精神療法(カウンセリング): 専門のカウンセラーと対話を重ねることで、自分の気持ちを整理し、認知の歪み(「〜べき思考」など)を修正していく方法です。一人で抱えていた悩みを吐き出すだけでも、心は軽くなります。
- 薬物療法: 脳内の神経伝達物質(セロトニンなど)のバランスを整える「抗うつ薬」などを使います。
- 「授乳中に薬を飲んでも大丈夫?」と不安に思う方が多いですが、授乳中でも比較的安全に服用できる薬はあります。 必ず医師に授乳中であることを伝え、メリットとデメリットをよく相談した上で、最適な薬を選んでもらいましょう。自己判断で薬をやめたり、量を調整したりするのは絶対にやめてください。
治療には時間がかかることもありますが、必ず回復への道筋は見えてきます。焦らず、専門家と二人三脚で治療を進めていきましょう。
↓↓↓↓↓


第4章:【今日からできる】産後うつを乗り越えるためのセルフケア術
専門的な治療と並行して、日々の生活の中で少しだけ意識を変えることで、心を軽くすることができます。無理のない範囲で、できそうなことから試してみてください。
「完璧な母親」を目指すのをやめる
100点満点の完璧な母親なんて、この世に一人もいません。目指すのは、60点で十分。いいえ、今日を乗り切れたら、それだけで満点です。
- 家事は手抜きでOK: 掃除は毎日しなくていい。食事はレトルトや冷凍食品、デリバリーを大いに活用しましょう。家族の健康より、まずあなたの心の健康が最優先です。
- 育児も手抜きでOK: 泣いていても、すぐに抱き上げられない時があったっていい。少しの間、安全な場所に寝かせておいて、あなたが深呼吸する時間をとりましょう。
「〜べき」を手放して、「〜でもいっか」を合言葉にしてみてください。
「休むこと」を最優先事項にする
今のあなたにとって、何よりも大切な仕事は「休むこと」です。
- 赤ちゃんが寝たら、一緒に寝る: 「赤ちゃんが寝ている間に家事を…」と思いがちですが、その時間はあなたの休息時間です。スマホを見るのもやめて、一緒に横になりましょう。
- 5分でも1人になる時間を作る: パートナーや家族に赤ちゃんを預け、トイレや別の部屋で一人で過ごすだけでも気分は変わります。
- 外部サービスを頼る: 次の章で詳しく解説しますが、一時預かりやベビーシッター、家事代行サービスなど、お金で時間を買うことをためらわないでください。
心と体を元気にする食事のヒント
食欲がないかもしれませんが、少しでも口にできるものを探してみましょう。
- トリプトファンを摂る: 幸せホルモン「セロトニン」の材料となるアミノ酸です。バナナ、牛乳・乳製品、大豆製品(豆腐・納豆)、赤身肉などに多く含まれます。
- ビタミンB群: エネルギー代謝を助け、神経の働きを正常に保ちます。豚肉、レバー、うなぎ、玄米などに豊富です。
- 鉄分: 産後は貧血になりがち。貧血は疲労感や気分の落ち込みを悪化させます。レバー、赤身肉、ほうれん草、ひじきなどを意識して摂りましょう。
調理が大変な時は、バナナを1本食べる、納豆ご飯を食べる、具沢山の味噌汁だけでも構いません。
5分でできる気分転換法
- 太陽の光を浴びる: カーテンを開けて、窓辺で5分間、外を眺めるだけでもOK。セロトニンの分泌を促します。
- 軽い運動: 天気の良い日に、赤ちゃんと一緒にベビーカーで近所を5分だけ散歩してみましょう。
- 好きな音楽を聴く: 昔好きだった曲、リラックスできる曲を聴いてみましょう。
- 温かい飲み物を飲む: ハーブティーやホットミルクで、ほっと一息つきましょう。
同じ悩みを持つ仲間とつながる
地域の育児サークルや、SNS、オンラインコミュニティなどで、同じ月齢の赤ちゃんを持つ母親と繋がるのも一つの方法です。
「うちも同じだよ」「その気持ち、すごくわかる」という共感の言葉が、何よりの薬になることもあります。ただし、他人と比べて落ち込んでしまう場合は、無理につながる必要はありません。

第5章:【夫・家族の方へ】産後うつの妻に、あなたがしてあげられる全て
「最近、妻の様子がおかしい…」
「笑顔が消えて、イライラしたり、泣いてばかりいる」
パートナーであるあなたが、妻の最も身近な理解者であり、一番の味方になることができます。ここでは、産後うつの妻を持つ夫や家族が知っておくべきこと、そして具体的なサポート方法をお伝えします。
まず「産後うつは病気である」と理解する
最も重要なことは、妻の今の状態を「気の持ちよう」「甘え」「わがまま」などと捉えず、「ホルモンバランスの乱れと極度の疲労による“病気”である」と正しく理解することです。
彼女は怠けているのではありません。頑張りたくても頑張れない、脳がエネルギー切れを起こしている状態なのです。この認識を持つことが、全てのサポートの出発点になります。
絶対NG!妻を追い詰める「言ってはいけない言葉」
良かれと思ってかけた言葉が、かえって妻を深く傷つけてしまうことがあります。以下の言葉は絶対に避けましょう。
- 「頑張れ」: 彼女はすでに、これ以上ないほど頑張っています。この言葉は「あなたの頑張りはまだ足りない」というメッセージに聞こえてしまいます。
- 「母親なんだから」「みんなやってることだよ」: 彼女を他人と比較し、その辛さを軽視する言葉です。「私だけがダメなんだ」と自己否定を強めてしまいます。
- 「気にしすぎだよ」「もっと前向きに考えなよ」: 気分の問題ではない、病気なのです。根性論で解決しようとするのはやめましょう。
- 「俺だって仕事で疲れてるんだ」: どちらが大変かを競っても意味がありません。今はまず、命がけで出産し、心身ともにボロボロになっている妻を労ることが最優先です。
【代わりに掛けるべき言葉】
「いつもありがとうね」
「辛いね、大変だよね」
「一人で抱え込まなくていいよ」
「何か手伝うことある?」(→より具体的に「お皿洗っておくね」「赤ちゃん見てるから、少し寝てていいよ」が良い)
「何もできなくても、君がいてくれるだけでいいんだよ」
妻が本当に求めているサポートとは?【具体的な行動リスト】
言葉だけでなく、行動で示すことが何よりも大切です。「何か手伝おうか?」と聞くのではなく、自ら考えて行動しましょう。
- とにかく話を聴く: 解決策を提案したり、アドバイスしたりする必要はありません。ただひたすら、「うん、うん」「そうか、辛かったね」と相槌を打ちながら、彼女の気持ちを受け止めてください(傾聴)。
- 家事・育児を「当事者」として行う: 「手伝う」というスタンスではなく、あなたも育児の当事者です。言われなくても、おむつ替え、ミルク作り、沐浴、寝かしつけ、食事の準備、掃除、洗濯などを積極的に行いましょう。
- 妻に「一人だけの時間」をプレゼントする: 「1時間、カフェに行ってきていいよ」「お風呂にゆっくり入ってきて」など、あなたが赤ちゃんのお世話を全て引き受け、妻が完全に育児から解放される時間を作ってあげてください。
- 専門機関への相談を促し、付き添う: 妻が一人で病院に行くのが不安な場合は、「一緒に行こう」と声をかけ、予約や付き添いをサポートしましょう。診察に同席し、医師の話を一緒に聞くことで、病気への理解も深まります。
- 情報を集める: 産後うつについて、あなた自身が本やインターネットで学び、知識を深めることも大切なサポートです。
夫自身も自分をケアすることを忘れずに
妻を支えるあなた自身も、大きなストレスを抱えることになります。一人で抱え込まず、友人や同僚に話を聞いてもらったり、自分の趣味の時間を持ったりして、セルフケアを心がけてください。あなたが倒れてしまっては、共倒れになってしまいます。必要であれば、夫婦でカウンセリングを受けるという選択肢もあります。

第6章:産後うつを乗り越えたママたちの体験談
今、暗闇の中にいるように感じていても、必ず光は見えてきます。ここでは、実際に産後うつを乗り越えた先輩ママたちの体験談をご紹介します。(※個人情報保護のため、内容は一部変更しています)
Aさん(30歳)「涙が止まらず夫に連れられて受診。投薬治療で回復へ」
「待望の第一子。幸せなはずなのに、産後1ヶ月を過ぎた頃から、理由もなく涙が溢れて止まらなくなりました。夫が帰ってくると、その顔を見ただけで号泣する毎日。家事も育児も手につかず、ただただ『消えてしまいたい』と考えるように。見かねた夫が『これは普通じゃない。病院に行こう』と心療内科に連れて行ってくれました。診断は『産後うつ』。授乳中でしたが、先生と相談し、影響の少ない薬を飲み始めました。最初は抵抗がありましたが、2週間ほどで少しずつ気持ちが楽になり、半年後には薬がなくても穏やかに過ごせるように。夫の素早い判断とサポートがなければ、どうなっていたかわかりません」
Bさん(28歳)「赤ちゃんが怖い…罪悪感に苦しんだ私がカウンセリングで救われた話」
「私の場合、気分の落ち込みよりも『赤ちゃんが可愛いと思えない』『泣き声を聞くとイライラして、怖いと感じてしまう』という症状が強く出ました。そんな自分を『母親失格だ』と責め、誰にも相談できずにいました。ある日、市の保健師さんが訪問してくれた際に、思い切って気持ちを打ち明けたところ、『そういう気持ちになるお母さん、たくさんいるんですよ』と優しく受け止めてくれ、涙が止まりませんでした。保健師さんの紹介で、臨床心理士さんのカウンセリングを受けることに。『完璧な母親にならなくていい』『自分を大切にしていい』と言われ続け、少しずつ罪悪感から解放されていきました。今では、息子の笑顔を心から可愛いと思えます。あの時、勇気を出して話して本当に良かったです」
↓↓↓↓↓

第7章:知っておきたい!あなたを支える公的支援とサービス
産後の母親を支えるための社会的な仕組みは、あなたが思っている以上にたくさんあります。一人で、そして家族だけで頑張る必要はありません。使えるものは積極的に活用しましょう。
産後ケア事業(宿泊型・デイサービス型・訪問型)
多くの自治体で、心身のケアや育児サポートを受けられる「産後ケア事業」が実施されています。
- 宿泊型: 助産院や病院などの施設に赤ちゃんと一緒に宿泊し、助産師などの専門家から24時間体制でケアを受けられます。
- デイサービス型(日帰り型): 日中、施設に出向き、母体のケア、授乳指導、育児相談などが受けられます。
- アウトリーチ型(訪問型): 助産師や保健師が自宅を訪問し、ケアやサポートを提供してくれます。
利用料金は自治体によって異なりますが、多くの場合、低額で利用できます。まずはお住まいの自治体のホームページで「産後ケア事業」と検索するか、保健センターに問い合わせてみてください。
地域の保健センター・子育て世代包括支援センター
前述の通り、母子保健に関する地域の拠点です。保健師、助産師、栄養士などの専門家が常駐しており、無料で電話相談や面談に応じてくれます。乳幼児健診の場だけでなく、困った時の最初の相談窓口として、気軽に頼ってください。
ファミリー・サポート・センター/一時預かり
- ファミリー・サポート・センター: 「子育てを手伝ってほしい人」と「手伝いたい人」を地域で結びつける会員制の組織です。保育園の送迎や、保護者のリフレッシュのための数時間程度の預かりなど、比較的安価で利用できます。
- 一時預かり(一時保育): 保育園などが、保護者の就労や病気、リフレッシュなどの理由で、一時的に子どもを預かってくれる制度です。
「少しだけ一人になりたい」「病院に行きたい」という時に、非常に心強い味方になります。
経済的な支援(傷病手当金など)
産後うつが原因で、産休・育休後に仕事に復帰できない場合、健康保険の**「傷病手当金」**を受給できる可能性があります。これは、病気やケガで働けない期間の生活を保障するための制度です。加入している健康保険組合や、会社の担当部署に確認してみましょう。

まとめ:あなたは一人じゃない。辛い時は、助けを求めていい
ここまで長い文章を読んでいただき、本当にありがとうございます。
もしあなたが今、産後うつの暗いトンネルの中にいるのなら、もう一度だけ、伝えさせてください。
その辛さは、あなたのせいではありません。あなたは決して、ダメな母親などではありません。
あなたは、命がけで新しい命をこの世に産み出し、心身ともに限界の状態で、必死に赤ちゃんを守ろうと頑張っている、尊い存在です。
産後うつは、適切な休息と治療によって、必ず良くなる病気です。
回復への道は、「助けを求めること」から始まります。
この記事で紹介した相談窓口のどこか一つでいい、電話をかけてみてください。パートナーや家族に、「辛い」と伝えてみてください。
その小さな一歩が、あなたと、あなたの愛する家族の未来を、明るい方へと導いてくれます。
あなたは、一人ではありません。社会全体で、あなたと赤ちゃんを支える準備ができています。どうか、その手を借りることをためらわないでください。
あなたが一日も早く心からの笑顔を取り戻せることを、切に願っています。
↓↓↓↓↓

↓↓↓↓↓

コメント