
心理検査への不安、この記事ですべて解消します
「病院で心理検査を勧められたけど、一体何をされるんだろう…」
「子どもの発達について相談したら、検査を受けてみましょうと言われた」
「心理検査って、自分の心が丸裸にされるみたいで怖い」
「検査結果が悪かったらどうしよう…」
「心理検査」という言葉に、このような不安や疑問を抱えて、この記事にたどり着いた方も多いのではないでしょうか。
心理検査は、決してあなたを評価したり、優劣をつけたりするためのものではありません。それは、あなた自身が自分のこころの仕組みや特性を客観的に理解し、より生きやすくなるための「こころの地図」を手に入れるための、非常に有効なツールです。
この記事では、臨床心理士・公認心理師といった専門家が用いる主要な心理検査について、その「内容」をどこよりも詳しく、そして分かりやすく解説します。
この記事を読み終える頃には、心理検査への不安は解消され、「受けてみようかな」「結果をどう活かそうかな」と前向きな気持ちになっているはずです。
それでは、さっそく心理検査の世界を探検していきましょう。
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第1章 そもそも心理検査とは?目的と意義を理解する
まず、心理検査の基本的な考え方について整理しましょう。ここを理解することが、検査への誤解を解く第一歩です。
心理検査は「こころの健康診断」
心理検査は、よく「こころの健康診断」に例えられます。身体の健康診断で血液検査やレントゲン撮影をするように、心理検査では質問に答えたり、課題に取り組んだりすることを通して、目には見えないこころの状態を客観的なデータとして可視化します。
これにより、以下のようなことが可能になります。
- 自己理解の深化: 自分の得意・不得意、考え方のクセ、感情の動き方などを客観的に知る。
- 問題の明確化: 漠然とした「生きづらさ」や「悩み」の原因がどこにあるのか、具体的な仮説を立てる。
- 診断の補助: 医師やカウンセラーが診断を下す際の、重要な参考情報となる。(※心理検査だけで診断が確定するわけではありません)
- 支援方針の決定: カウンセリングや治療、学習支援など、その人に合ったサポート方法を見つけるためのヒントを得る。
決して「性格が悪い」「能力が低い」といったレッテルを貼るためのものではない、ということを覚えておいてください。
心理検査を行う専門家とは?
心理検査は、誰でも実施・解釈して良いわけではありません。高度な専門知識と技術、そして倫理観が求められるため、主に臨床心理士や公認心理師といった資格を持つ専門家が行います。
彼らは、検査の結果(数値やデータ)だけでなく、検査中のあなたの様子(表情、話し方、課題への取り組み方など)も注意深く観察します。これら全ての情報を統合して、あなたのこころの状態を多角的に理解しようと努めます。だからこそ、安心して検査に臨むことができるのです。
心理検査で「わかること」と「わからないこと」
わかることの例:
- 知的な能力のバランス(得意なこと、苦手なこと)
- 発達の特性(注意力の偏り、社会性の特徴など)
- ストレスへの対処法や考え方の傾向
- 感情のコントロールの仕方
- 対人関係のパターン
- 無意識的な欲求や葛藤
わからないこと・目的ではないことの例:
- あなたの考えていること全てを読み取る(読心術ではありません)
- 未来を予言する
- 人間の価値や優劣を決める
- 嘘を見抜く(一部、回答の信頼性を測る指標はあります)
心理検査は万能ではありませんが、正しく用いれば、あなた自身を深く知るための強力なサポーターとなるのです。
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第2章 【種類別】心理検査の具体的な内容を徹底解説
ここからは、この記事の核心部分です。世の中には数百種類もの心理検査が存在しますが、ここでは臨床現場や教育現場でよく用いられる代表的な検査を、目的別に分類してご紹介します。
知能・発達をみる検査
個人の知的な能力や発達の水準・特性を把握するための検査です。特に、学習の困難さや仕事でのつまずき、発達障害の可能性などを検討する際に用いられます。
- 概要: 世界で最も広く使用されている代表的な知能検査です。複数の下位検査(パズル、単語問題、計算、記憶課題など)を通して、知能を多角的に測定します。
- 種類:
- WAIS-IV(ウェイス・フォー): 16歳0ヶ月~90歳11ヶ月の成人向け。
- WISC-V(ウィスク・ファイブ): 5歳0ヶ月~16歳11ヶ月の児童・生徒向け。
- WPPSI-III(ウィプシ・スリー): 2歳6ヶ月~7歳3ヶ月の幼児向け。
- 内容: 専門家と1対1で、様々な課題に口頭で答えたり、実際に手を使って作業したりします。「単語の意味を説明する」「絵の足りない部分を指摘する」「積み木で同じ形を作る」「数字を記憶して逆から言う」など、多岐にわたる課題が含まれます。
- 所要時間: 60分~120分程度。休憩を挟みながら行います。
- 何がわかるか:
- 全検査IQ(FSIQ): 一般的に「IQ」と呼ばれる、総合的な知的能力の水準。
- 4つの指標(WAIS-IVの場合):
- 言語理解指標(VCI): 言葉を理解し、表現する力。知識の豊かさ。
- 知覚推理指標(PRI): 目で見た情報を整理し、論理的に考える力。
- ワーキングメモリー指標(WMI): 情報を一時的に記憶し、処理する力。
- 処理速度指標(PSI): 簡単な視覚情報を素早く正確に処理する力。
- これらの指標のバランス(得意・不得意の差)を見ることで、その人の認知的な特性が分かります。例えば、「言語理解は高いのに処理速度が低い」場合、「話を聞いて理解するのは得意だが、板書を写したり、単純作業を素早くこなしたりするのは苦手」といった困難さの背景を説明できることがあります。
- 概要: 日本で開発され、古くから使われている知能検査。ビネー式の特徴である「精神年齢」を算出できる点が特徴です。
- 対象年齢: 2歳0ヶ月~成人。
- 内容: 年齢に応じた様々な問題が出題されます。簡単なものから始め、できなくなったところで中止する、という形式が基本です。内容は、単語、記憶、図形、常識問題など様々です。
- 所要時間: 30分~60分程度。
- 何がわかるか: 全体的な知能の発達水準を示す「IQ(知能指数)」と「精神年齢」がわかります。特に、知的発達に遅れがないか、全体的な発達レベルを把握するのに適しています。
- 概要: 主に乳幼児から児童期の子どもの発達を全般的に評価するための検査です。
- 対象年齢: 0歳~成人(主に乳幼児期から学童期に用いられる)。
- 内容: 子どもの発達段階に合わせて、おもちゃを使ったり、絵を見せたり、簡単な質問をしたりします。検査者は子どもの自然な反応や行動を観察しながら評価します。
- 所要時間: 30分~60分程度。
- 何がわかるか:
- 姿勢・運動(P-M): 寝返り、歩行、体の使い方など。
- 認知・適応(C-A): 周囲の状況の理解、問題解決、模倣など。
- 言語・社会(L-S): 言葉の理解や表出、人との関わり方など。
- これらの領域別の発達年齢と「発達指数(DQ)」が算出され、子どもの発達の全体像と領域ごとのバランスを把握できます。

人格(パーソナリティ)をみる検査
その人の性格傾向、感情の動き、対人関係のパターン、ストレスへの対処法などを把握するための検査です。大きく「質問紙法」と「投影法」に分かれます。
「はい」「いいえ」「どちらでもない」などで回答する、いわゆるアンケート形式の検査です。実施や採点が客観的で比較的容易なのが特徴です。
- 概要: 日本で最もポピュラーな性格検査の一つ。120個の質問項目から、12の性格特性を測定します。
- 内容: 「些細なことにくよくよしますか?」「リーダーになることが多いですか?」といった質問に「はい」「いいえ」「?」で答えます。
- 所要時間: 20分~30分程度。
- 何がわかるか: 抑うつ性、活動性、衝動性、神経質、協調性、思考的外向など12の特性について、尺度のプロフィール(グラフ)が作成されます。これにより、情緒の安定性、人間関係の持ち方、行動の仕方といったパーソナリティの全体像を把握できます。
- 概要: 世界的に広く用いられている、精神医学的な診断補助を目的とした質問紙法検査。550項目(MMPI-2)という膨大な質問から、パーソナリティの特徴や精神病理の傾向を詳細に評価します。
- 内容: 「私はよくゴシップを読みます」「私の魂は時々体から離れていきます」といった多岐にわたる質問に「そう思う」「そう思わない」で答えます。
- 所要時間: 60分~90分程度。
- 何がわかるか: 臨床尺度(心気症、抑うつ、ヒステリー、精神病質的偏倚など10尺度)と妥当性尺度(回答の歪みなどをチェックする尺度)から、精神的な健康状態や問題のパターンを客観的に評価します。診断の補助や治療効果の測定に非常に有用です。
- 概要: 交流分析という心理学理論に基づいた性格検査。人の心を「P(親)」「A(大人)」「C(子ども)」の3つの自我状態に分け、さらにそれを5つ(CP, NP, A, FC, AC)に分類して、そのバランスを見ます。
- 内容: 53の質問項目に「はい」「いいえ」「どちらでもない」で答えます。
- 所要時間: 10分~15分程度。
- 何がわかるか:
- CP (批判的な親): 厳格さ、理想、責任感
- NP (養育的な親): 優しさ、共感性、保護的
- A (大人): 合理的、冷静、客観的
- FC (自由な子ども): 好奇心、奔放さ、創造性
- AC (順応した子ども): 協調性、我慢、遠慮
- この5つのエネルギーバランスがグラフで示され、自分の性格傾向や対人関係のパターンを直感的に理解しやすいのが特徴です。
インクのシミや絵など、曖昧な刺激(課題)を提示し、それに対して自由に反応してもらう検査です。その反応には、本人の無意識的な欲求や葛藤、世界のとらえ方などが投影されると考えられています。解釈には高い専門性が求められます。
- 概要: 投影法を代表する、最も有名な心理検査の一つ。左右対称のインクのしみが描かれた10枚のカードを1枚ずつ見せ、何に見えるかを自由に話してもらいます。
- 内容: 検査者と1対1で行います。薄暗い部屋で…といったイメージは誤解で、通常の面接室で実施されます。検査者は「これは何に見えますか?」と問いかけ、あなたの反応(何に見えたか、カードのどこを使ったか、形や色、動きをどう捉えたかなど)を詳細に記録します。
- 所要時間: 60分程度(個人差が大きい)。
- 何がわかるか:
- 認知・思考のスタイル: 物事をどのように捉え、情報を整理し、考えるか。現実検討能力。
- 感情のあり方: 感情をどのように体験し、コントロールしているか。
- 自己イメージ: 自分自身をどのように捉えているか。
- 対人関係のスタイル: 他者との関係をどのように認識し、築こうとするか。
- ストレスへの対処: 困難な状況にどう向き合うか。
- MMPIなどがパーソナリティの「構造」を見るのに対し、ロールシャッハはよりダイナミックな「こころの働き」を捉えるのに適していると言われます。
- 概要: 人物や風景が描かれた、やや曖昧な状況の絵(図版)を複数枚見せ、その絵について自由に物語を作ってもらう検査です。
- 内容: 「この絵には、どんな状況が描かれていますか?登場人物は何を考え、何を感じていますか?この後どうなりますか?」といった問いかけに対し、自由にストーリーを語ってもらいます。
- 所要時間: 60分程度。
- 何がわかるか: 作られた物語の主人公に、語り手自身の欲求や葛藤、対人関係のパターン、価値観などが投影されると考えられています。その人がどのような対人関係のテーマ(例えば、達成、親和、葛藤など)を抱えているかを理解するのに役立ちます。
- 概要: 「私の父は_____」「私が一番心配なのは_____」といったように、書き出し部分だけが書かれた不完全な文章(刺激文)を提示し、その続きを自由に書いて完成させてもらう検査です。
- 内容: 用紙に書かれた30~60個程度の刺激文に対して、思いつくままに文章を完成させていきます。
- 所要時間: 20分~40分程度。
- 何がわかるか: 質問紙法よりも自由度が高く、投影法よりも意識的な側面が表れやすいのが特徴です。家族関係、自己概念、対人関係、将来への展望など、特定の領域についての考えや感情を効率的に把握することができます。カウンセリングの初期に、問題点を整理するために用いられることも多いです。
- 概要: 「1本の実のなる木を自由に描いてください」というシンプルな教示で、木を描いてもらう描画法の検査です。
- 内容: A4程度の白い紙と鉛筆が渡され、指示に従って木を描きます。描いた後で、その木に関する質問(何歳か、季節はいつか、など)をすることもあります。
- 所要時間: 5分~15分程度。
- 何がわかるか: 描かれた木の状態に、描き手のパーソナリティや無意識の状態が投影されると考えられています。
- 根: 無意識、基本的なエネルギー、過去とのつながり
- 幹: 自己、自我の強さ、安定性
- 枝: 周囲の世界との接触、対人関係
- 葉や実: 達成感、生命力
- 例えば、非常に小さな木は自信のなさを、地面に根が描かれていない木は不安定さを示唆する、といった解釈がなされます。ただし、これだけで何かを断定することはなく、他の検査や面接情報と合わせて総合的に判断します。
その他の目的で使われる検査
- 概要: 脳の損傷(脳卒中、頭部外傷など)や変性疾患(認知症など)によって生じる高次脳機能障害(記憶障害、注意障害、失語など)の有無や程度を評価する検査群です。
- 代表的な検査:
- 長谷川式簡易知能評価スケール(HDS-R)、MMSE: 認知症のスクリーニング(簡易検査)として有名。
- コース立方体組み合わせテスト: 構成能力(空間を把握し、組み立てる力)を見る。
- 三宅式記銘力検査、WMS-R: 記憶力を詳細に評価する。
- ベントン視覚記銘検査、Bender-Gestalt Test: 視覚的な記憶や構成能力を見る。
- 何がわかるか: 記憶、注意、遂行機能、言語、視空間認知といった脳の様々な機能について、どの部分にどの程度の困難があるかを客観的に評価します。リハビリテーションの方針決定などに役立ちます。
- 概要: 個人の興味、価値観、能力などを測定し、どのような職業や職務に向いているかを評価する検査です。就職活動やキャリアカウンセリングでよく用いられます。
- 代表的な検査:
- 内田クレペリン精神検査: 隣り合う1桁の数字をひたすら足し算していく作業検査。作業の量やペース、誤答のパターンから、能力面(作業効率、持続力)と性格・行動面(安定性、衝動性)の特徴を評価する。
- GATB(一般職業適性検査): 紙筆検査と器具検査からなり、9つの適性能(知的能力、言語能力、空間判断力など)を測定する。
- VPI職業興味検査: 興味のある活動や職業を選ぶことで、6つの興味領域(現実的、研究的、芸術的など)の強さを測定する。
第3章 どこで受けられる?心理検査の流れと費用
では、実際に心理検査を受けたいと思ったら、どうすれば良いのでしょうか。ここでは、検査を受ける場所から結果のフィードバックまでの流れ、そして気になる費用について解説します。
心理検査が受けられる場所
心理検査は、主に以下のような場所で受けることができます。
- 医療機関:
- 精神科・心療内科: 医師の診察に基づき、診断や治療方針決定のために検査が行われます。公的医療保険が適用される場合があります。
- 小児科・児童精神科: 子どもの発達に関する相談で、発達検査や知能検査が行われます。
- 脳神経外科・神経内科: 高次脳機能障害の評価のために神経心理学検査が行われます。
- 相談機関:
- カウンセリングルーム(私設): 自費でのカウンセリングの一環として、自己理解を深める目的などで検査を受けられます。
- 教育相談所・児童相談所: 子どもの発達や就学に関する相談の中で、公費で検査が受けられる場合があります。
- 学生相談室(大学など): 在学中の学生が、学業や対人関係の悩みについて相談する中で検査を勧められることがあります。
- その他:
- ハローワーク: 職業相談の中で、GATBなどの適性検査を受けられる場合があります。
まずは、かかりつけの医師や、地域の相談機関に問い合わせてみるのが良いでしょう。
予約から結果説明までの流れ
一般的な流れは以下のようになります。
- 予約・相談: 電話やウェブサイトから予約します。まずは相談(インテーク面接)のみ行い、検査の必要性を検討する場合が多いです。
- インテーク面接(初回面接): 担当の心理士と面接をします。現在の悩みや困りごと、これまでの経緯などを詳しく話します。この情報をもとに、心理士は「どのような目的で、どの検査を行うのが適切か」を判断し、提案します。
- 心理検査の実施: 別の日時を予約し、検査を実施します。検査によっては複数回に分けて行うこともあります。時間は検査内容によりますが、1~2時間程度が目安です。
- 結果の整理・解釈: 心理士が検査結果を採点し、分析します。インテーク面接の情報や検査中の様子なども含めて、報告書(所見)を作成します。この作業に1~2週間程度かかります。
- フィードバック面接(結果説明): 再び心理士と会い、検査結果について詳しい説明を受けます。専門用語をかみ砕き、あなたの特性や強み、今後の活かし方などを一緒に考えていきます。質問の時間も十分に設けられます。
気になる費用は?保険は使える?
費用は、検査を受ける場所や内容、目的によって大きく異なります。
- 保険適用の場合:
- 精神科や心療内科などで、医師が「診断・治療に必要」と判断した場合に保険が適用されます。
- 代表的なものでは「発達及び知能検査」(WAIS/WISCなど)や「操作が複雑なもの(人格検査など)」(ロールシャッハ、MMPIなど)といった診療報酬項目があります。
- 自己負担額は3割負担の場合、数千円~1万円程度になることが多いです。ただし、初診料や再診料は別途かかります。
- 自費(保険適用外)の場合:
- 私設のカウンセリングルームで受ける場合や、医療機関でも治療目的ではない(自己理解のためなど)と判断された場合は自費になります。
- 料金は機関によって様々ですが、検査料+所見作成料+フィードバック面接料がセットになっていることが多いです。
- WAIS/WISCなどの個別式の知能検査では、総額で2万円~5万円程度が相場です。ロールシャッハ・テストなども同程度のことが多いです。
- 複数の検査を組み合わせる(フルバッテリー)場合は、さらに高額になることもあります。
費用については、必ず事前に検査を受ける機関に確認しましょう。
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第4章 検査を受ける前に知っておきたい心構えと注意点
検査をより有意義なものにするために、受ける側の心構えも大切です。
- 体調を整えて臨む: 検査は集中力が必要です。前日は十分な睡眠をとり、当日は食事をきちんと摂って、心身ともにリラックスした状態で臨みましょう。体調が悪い場合は、無理せず日程を変更してもらいましょう。
- ありのままの自分で: 「良い結果を出そう」「よく見せよう」と頑張る必要は全くありません。むしろ、そうすることで本来のあなたの姿が見えにくくなってしまいます。わからない問題は「わかりません」と正直に伝えて大丈夫です。ありのままのあなたで、自然体で取り組むことが、最も正確な結果につながります。
- プライバシーは守られる: 心理検査の結果や面接で話した内容は、個人のプライバシーとして厳重に守られます(守秘義務)。本人の同意なく、外部に情報が漏れることは原則としてありません。安心して話してください。(※自傷他害の危険など、特定の例外はあります)
- 疑問点は遠慮なく質問する: 検査の目的や内容、結果についてわからないことがあれば、いつでも担当の心理士に質問してください。あなたが納得して検査を受け、結果を理解することが何よりも重要です。
第5章 検査結果は「レッテル」じゃない!未来に活かすためのヒント
検査結果を受け取ったとき、数値や専門用語に戸惑ったり、自分の弱点を突きつけられたように感じて落ち込んだりするかもしれません。しかし、最も大切なのは、その結果をどう解釈し、これからに活かしていくかです。
「強み」と「弱み」をセットで理解する
検査結果は、あなたの「弱み」や「欠点」を指摘するだけのものではありません。必ず「強み」や「得意なこと」も示してくれます。
例えば、WAISの結果で「処理速度が低い」という結果が出たとします。これは「単純作業が苦手」という弱みかもしれませんが、一方で「言語理解が高い」のであれば、「物事をじっくり考え、深く理解する力がある」という強みになります。
「素早くこなすのは苦手だけど、その分、一つ一つを丁寧に考えられる」というように、弱みを裏側から見ることで、それはあなたの個性や強みにもなり得るのです。
「自分だけの取扱説明書」を作る
検査結果は、あなたという唯一無二の存在の「取扱説明書」を作るための材料です。
- 環境調整のヒント:
- 「聴覚からの情報処理が苦手」なら、指示はメモで貰うように頼んでみる。
- 「注意が散漫になりやすい」なら、静かな環境で作業する、パーテーションを使うなどの工夫をする。
- 対人関係のヒント:
- 「感情の言語化が苦手」だとわかれば、「今、うまく言えないけどモヤモヤしている」と正直に伝える練習をしてみる。
- 学習・仕事のヒント:
- 「視覚的な記憶が得意」なら、図やイラストを多用して勉強する。
- 自分の認知特性に合った職業や働き方を考えるきっかけにする。
フィードバック面接の際に、心理士と「具体的にどんな工夫ができそうか」を一緒に話し合うことが非常に重要です。
変化のプロセスの一部として捉える
心理検査は、ゴールではありません。あくまで、自己理解を深め、より良い方向へ進むためのスタート地点です。結果を受けて、カウンセリングを継続したり、新しい対処法を試してみたり、周囲に配慮をお願いしたり…といった具体的な行動につなげていくことが、検査を受けた価値を最大化します。
一度きりの結果に一喜一憂するのではなく、長い人生における「現在地」を確認するためのツールとして、前向きに捉えましょう。
第6章 心理検査に関するよくある質問(Q&A)
最後に、心理検査に関してよく寄せられる質問にお答えします。
Q1. 検査結果はいつわかりますか?
A1. 検査後、心理士が結果を整理・分析する時間が必要です。通常、1週間~3週間後にフィードバック面接(結果説明)の日程が組まれます。詳しい日程は担当の心理士にご確認ください。
Q2. 検査結果は学校や会社に伝わりますか?
A2. 本人の同意なしに伝わることは絶対にありません。 守秘義務によって保護されています。ただし、本人が希望し、情報提供に同意した場合は、学校の先生や産業医などと連携し、より良い支援体制を作るために情報を共有することがあります。その際も、どの情報を誰に伝えるかは、本人と相談の上で慎重に決定します。
Q3. 子どもに検査を受けさせるか迷っています。
A3. お子さんの発達について心配なことがある場合、検査は客観的な情報を得る良い機会になります。お子さんの「得意」と「苦手」を理解することで、親御さんの関わり方や、学校での支援の仕方のヒントが得られます。「問題児」のレッテルを貼るためではなく、「その子に合ったサポート」を見つけるために行う、と考えてみてください。まずは、医療機関や教育相談所などで、なぜ検査が必要なのか、検査で何がわかるのかを詳しく聞いてみることをお勧めします。
Q4. 検査の途中でやめたくなったら、やめられますか?
A4. はい、やめることができます。検査はあなたの同意のもとで行われるものです。疲れたり、気分が優れなかったりした場合は、遠慮なく心理士に伝えてください。休憩を取ったり、後日に分けたりすることも可能です。
Q5. 知能検査(IQテスト)の対策や練習はできますか?
A5. 事前に問題を解くなどの対策はしないでください。知能検査は、その人本来の認知特性を見るためのものです。練習をしてしまうと、正確な結果が得られなくなってしまい、かえって検査の意味がなくなってしまいます。知識を問うテストではなく、考え方や問題への取り組み方を見るものだと理解し、リラックスして臨んでください。
Q6. 複数の検査を受ける「フルバッテリー」とは何ですか?
A6. 「バッテリー」とは、複数の検査を組み合わせて実施することを指します。例えば、知能検査(WAISなど)で認知の特性を見て、人格検査(ロールシャッハなど)でパーソナリティの側面を見る、というように、多角的な視点からその人を深く理解するために行われます。時間も費用もかかりますが、より詳細で統合的なアセスメント(評価・査定)が可能になります。

おわりに 自分を知る旅への第一歩
ここまで、心理検査の内容について、非常に詳しく解説してきました。
心理検査は、あなたのこころを無理やりこじ開けるためのものでも、あなたを裁くためのものでもありません。それは、複雑で素晴らしいあなたのこころを、あなた自身が理解するための「信頼できるガイド」です。
もし今、あなたが何らかの生きづらさを感じていたり、自分自身のことがよくわからなくなっていたりするのなら、心理検査を受けてみることは、その状況を打開するための大きな一歩になるかもしれません。
この記事が、あなたの心理検査に対する不安を和らげ、自分を知る旅へと踏み出すきっかけとなれば、これほど嬉しいことはありません。
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