
「またパートナーを怒鳴りつけてしまった…」
「自分の言動が、大切な人を深く傷つけていることに気づいた」
「もしかして、自分がしていることはモラハラやDVなのではないか?」
この記事を読んでいるあなたは、ご自身の行動に悩み、罪悪感や恐怖、そして「変わりたい」という切実な思いを抱えているのかもしれません。
パートナーとの関係をこれ以上壊したくない。子どもに同じような思いをさせたくない。何より、こんな自分自身が嫌だ。そうした苦しみの中から、「加害者 治療」というキーワードで検索し、ここにたどり着いたのではないでしょうか。
その一歩は、非常に勇気が必要な、そして何よりも重要な一歩です。
結論からお伝えします。モラハラやDVという加害行動は、適切な治療や更生プログラムによって、変えることが可能です。
しかし、それは決して簡単な道のりではありません。「ごめんなさい」と謝るだけ、あるいは一時的に優しくするだけで解決する問題ではないのです。自分の行動の根本にある原因と向き合い、考え方の癖を修正し、新しいコミュニケーションスキルを学ぶという、地道で継続的な努力が求められます。
この記事は、「変わりたい」と本気で願うあなたのために、その具体的な道のりを照らすための完全ガイドです。
- なぜ自分が加害者になってしまったのか?(原因の理解)
- モラハラ・DVとは具体的にどのような行動か?(問題の客観視)
- どのような治療法があり、実際に何をするのか?(具体的な方法)
- どこに相談すれば、助けを得られるのか?(専門機関リスト)
- 治療にかかる期間や費用はどれくらいか?(現実的な情報)
これらの情報を網羅的に、そして分かりやすく解説していきます。この記事を読み終える頃には、あなたが次に何をすべきか、明確な道筋が見えているはずです。
大丈夫です。あなたは一人ではありません。変わるための第一歩を、今、ここから一緒に踏み出しましょう。
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第1章 あなたは一人ではない。加害者が「変わりたい」と思う瞬間
加害行動をやめたい、変わりたいと思うことは、決して特別なことではありません。多くの加害者が、ふとした瞬間に自分の行いの異常さに気づき、強い後悔や恐怖に襲われます。
- パートナーの怯えた目を見たとき
- 「あなたのせいで死にたい」と言われたとき
- 自分の言動を真似する子どもの姿を見たとき
- 警察が介入する事態になったとき
- 離婚や別居を切り出され、すべてを失う恐怖を感じたとき
- ふと冷静になったときに、自分の言動を思い出して自己嫌悪に陥ったとき
これらの瞬間は、非常に苦しいものですが、同時に「変化への扉」でもあります。問題から目をそらさず、「なんとかしなければ」と感じたその気持ちこそが、治療への最も重要な動機となります。
重要なのは、その「変わりたい」という気持ちを一過性のものにせず、具体的な行動に移すことです。この章では、まず自分の問題を正しく認識するために、モラハラ・DVの定義と、その根本にある原因について深く掘り下げていきます。
モラハラ・DVとは何か?加害者の視点から再定義する
被害者の視点からの定義は多くありますが、ここでは加害者自身が「自分のどの行動が問題なのか」を客観的に把握するために、具体的な行動レベルで定義し直してみましょう。
■精神的DV・モラルハラスメント(モラハラ)
言葉や態度によって、相手の人格や尊厳を傷つけ、精神的に支配しようとする行為です。殴る蹴るといった身体的暴力がなくても、これは明確な暴力(DV)に含まれます。
- 【人格否定・侮辱】
- 「お前はバカだ」「本当に使えない」「誰のおかげで生活できているんだ」と見下す。
- 相手の容姿、学歴、家柄、友人をけなす。
- 大勢の前で恥をかかせる、わざと失敗させる。
- 【脅迫・威嚇】
- 「言うことを聞かないなら出ていけ」「実家に乗り込むぞ」と脅す。
- 大声で怒鳴る、壁や物を殴って威嚇する。
- 睨みつける、ドアを強く閉めるなど、不機嫌な態度で相手をコントロールする。
- 【束縛・監視】
- 友人との付き合いや外出を制限する。
- スマホを勝手に見る、メールやLINEをチェックする。
- 常にどこで誰と何をしているか報告させる。
- 【経済的DV】
- 生活費を渡さない、または極端に切り詰める。
- 相手が働くことを認めない、または辞めさせる。
- 相手のお金の使い道を細かくチェックし、罵倒する。
- 【無視・関係性の切り離し】
- 機嫌が悪くなると、徹底的に無視をする。
- 自分の要求が通らないと、子どもを連れて実家に帰るなど、関係性を人質にする。
■身体的DV
直接的に身体へ危害を加える行為です。一度でもあれば、それは紛れもない暴力です。
- 殴る、蹴る、髪を引っ張る、突き飛ばす
- 物を投げつける
- 首を絞める
- 刃物などの凶器で脅す
■性的DV
相手が望まない性的な行為を強要することです。夫婦間であっても、合意がなければ性的DVとなります。
- 性行為の強要
- 避妊に協力しない
- ポルノを見せる、ポルノのような行為を強要する
これらのリストを見て、一つでも思い当たる節があれば、あなたは加害行動をとっている可能性が非常に高いと言えます。「愛情表現のつもりだった」「しつけのつもりだった」「相手にも原因がある」といった言い訳は、問題の本質から目をそらすための自己防衛に他なりません。まずは、これらの行為が「暴力」であると認めることが、治療のスタートラインです。
なぜ私は加害者に?見過ごされがちな5つの根本原因
「なぜ自分はこんな行動をとってしまうのだろう?」と不思議に思うかもしれません。加害行動は、単なる「性格が悪い」という一言で片付けられるものではなく、その背景には根深い原因が隠されています。
原因1:幼少期の経験(暴力の連鎖)
最も多い原因の一つが、自らが育った家庭環境です。
- 親から暴力を受けていた(直接的被害)
- 父親が母親に暴力をふるうのを見ていた(間接的被害・目撃)
- 親から常に人格を否定され、褒められた経験がない
このような環境で育つと、「力で相手を支配することが当たり前」「強い者が正しい」「愛情とは厳しいものだ」といった歪んだ価値観が、無意識のうちに刷り込まれてしまいます。そして、自分が家庭を持ったとき、かつて自分が受けた(あるいは見た)コミュニケーション方法しか知らず、同じことを繰り返してしまうのです。これを「暴力の世代間連鎖」と呼びます。
原因2:歪んだ価値観・ジェンダーバイアス
「男は強くあるべきだ」「女は男に従うべきだ」「一家の大黒柱である俺の言うことは絶対だ」といった、古い固定観念やジェンダーバイアスも大きな原因です。
このような考えに囚われていると、パートナーを自分と同等な一人の人間として尊重することができません。自分の思い通りにならないことがあると、プライドが傷つけられたと感じ、支配的な行動で相手をコントロールしようとしてしまいます。
原因3:極端に低い自己肯定感と強い承認欲求
意外に思われるかもしれませんが、加害者の多くは、内面に強い劣等感や不安を抱え、自己肯定感が極端に低い傾向があります。
- 自分に自信がないため、常に他人からの評価を気にする。
- 「見捨てられるのではないか」という強い不安(見捨てられ不安)を抱えている。
- ありのままの自分では愛されないと思っている。
この低い自己肯定感を埋めるために、パートナーを支配し、自分より弱い存在を作ることで、一時的な安心感や万能感を得ようとします。相手を貶めることで、相対的に自分の価値を上げようとする、非常に脆い自己愛の形です。
原因4:コミュニケーションスキルの圧倒的な欠如
自分の感情(特に怒り、不安、悲しみ)を適切に言葉で表現する方法を知らない、というのも大きな原因です。
感情が高ぶったときに、それを落ち着かせたり、「私は今、こう感じている」と相手に伝えたりするスキル(アサーション)が欠けているため、「怒鳴る」「黙り込む」「物にあたる」といった、短絡的で破壊的な行動に頼ってしまいます。自分の本当の気持ち(例えば「もっと構ってほしい」「不安だ」)を伝えられず、その代わりに暴力という最も未熟な手段で表現してしまうのです。
原因5:精神疾患や依存症との関連
パーソナリティ障害(特に境界性パーソナリティ障害や自己愛性パーソナリティ障害)、うつ病、双極性障害、発達障害(特にADHDの衝動性)などが背景に隠れている場合もあります。また、アルコールや薬物、ギャンブルなどの依存症が、暴力の引き金になっているケースも少なくありません。
これらの疾患や依存症がある場合、その治療を並行して行うことが、加害行動をやめる上で不可欠となります。
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第2章 【最重要】加害は「治せる」。しかし、簡単な道ではない
ここまで読んで、自分の問題の根深さに愕然とし、絶望的な気持ちになったかもしれません。「もう変われないのではないか」と。
しかし、もう一度言います。加害行動は、専門的なアプローチによって「治す」ことが可能です。それは、風邪をひいたら薬を飲むように、骨折をしたらギプスで固定するように、心の問題や行動の問題にも適切な「治療法」が存在するからです。
ただし、そこには大きな覚悟が必要です。
- 「自分は100%間違っていた」と認める覚悟。
- 被害者が受けた傷の深さを直視する覚悟。
- 時間と労力、そしてお金をかけてでも自分を変えるという覚悟。
- すぐに結果が出なくても、諦めずに続ける覚悟。
この覚悟なくして、真の変化は訪れません。「カウンセリングに一回行けば治る」「プログラムに参加さえすれば許される」といった甘い考えは、今すぐ捨ててください。
この章では、治療の第一歩から、具体的な治療プログラムの内容までを詳しく解説します。
治療・更生の第一歩:「100%自分の責任」と認めること
治療を開始する上で、最も重要で、最も困難なステップがこれです。
「相手にも原因があった」「あの時はカッとなっていた」「酒のせいだ」
こうした言い訳を、一つ残らず手放す必要があります。どんな理由があろうとも、暴力という手段を選んだのは、他の誰でもない「あなた自身」です。その選択責任は、100%、あなたにあります。
この「責任の引き受け」ができない限り、どんな治療も効果はありません。カウンセラーやプログラムのせいにして、途中で投げ出してしまうでしょう。
まずは、静かな場所で一人になり、自分の行動を具体的に書き出してみてください。
- いつ、どこで、誰に、何をしたか?
- その時、相手はどんな表情をしていたか?何を言っていたか?
- その行動によって、相手や子ども、そして自分自身が何を失ったか?
この作業は非常な苦痛を伴いますが、自分の加害性を客観視し、「これは紛れもなく自分の問題なのだ」と認めるための重要なプロセスです。
具体的な治療法・更生プログラムの種類
自分の責任を認める覚悟ができたら、いよいよ専門家の助けを借りる段階です。加害者向けの治療は、主に以下のような方法が組み合わせて行われます。
① 認知行動療法(CBT:Cognitive Behavioral Therapy)
加害者治療の中核となる最もポピュラーな心理療法です。これは、加害行動の引き金となる「考え方の癖(認知の歪み)」に焦点を当て、それを修正していくアプローチです。
【認知の歪みの例】
- 白黒思考:「俺の言うことを聞くか、聞かないかだ。中間はない」
- べき思考:「妻は夫を立てるべきだ」「子どもは親の言うことを聞くべきだ」
- 自分への関連付け:「パートナーの機嫌が悪いのは、俺を馬鹿にしているからだ」
- 責任転嫁:「お前が俺を怒らせるから、殴ってしまうんだ」
【治療のプロセス】
- 出来事の記録: 暴力や暴言をふるってしまった状況を詳しく記録します(ABCコラムなど)。
- A (Antecedent): 先行状況(何が起きたか)
- B (Belief): 信念・考え(その時、どう考えたか)
- C (Consequence): 結果(どう感じ、どう行動したか)
- 自動思考の特定: その時に頭に浮かんだ、無意識の「考え方の癖(自動思考)」を特定します。
- 認知の再構成: その自動思考が本当に現実的なのか、他の考え方はないのかをカウンセラーと一緒に検証し(「それは本当に100%相手のせいか?」「『べき』ではなく『〜だと嬉しい』ではダメか?」など)、より現実的で柔軟な考え方(適応的思考)に置き換える練習をします。
- 行動の変化: 新しい考え方に基づいた、非暴力的な行動を実際に試してみます。
これを繰り返すことで、「カッとなったら殴る」という短絡的な回路を、「カッとなった→(一呼吸置く)→『今の言い方は悲しかった』と伝える」という新しい健全な回路に作り変えていきます。
② アサーション・トレーニング
アサーションとは、「相手の権利を侵害することなく、自分の気持ちや考えを、正直に、率直に、その場にふさわしい方法で表現する」ためのコミュニケーションスキルです。
多くの加害者は、自分の要求を通すために攻撃的(アグレッシブ)になるか、不満を溜め込んで非主張的(ノン・アサーティブ)になり、最終的に爆発するかの両極端に陥りがちです。
アサーション・トレーニングでは、「私は(I am)」を主語にして自分の感情を伝える「I(アイ)メッセージ」の練習などを行います。
- 悪い例(YOUメッセージ):「お前はいつも帰りが遅い!」(相手を非難)
- 良い例(Iメッセージ):「私は、あなたが遅く帰ってくると、何かあったのかと心配になるし、寂しい気持ちになるんだ」(自分の感情を表現)
このスキルを身につけることで、怒りや暴力に頼らずに、パートナーと対等な立場で話し合いができるようになります。
③ アンガーマネジメント
怒りの感情そのものは、自然なものです。問題なのは、その「表現方法」が暴力的であることです。アンガーマネジメントは、怒りと上手に付き合うための心理トレーニングです。
- 怒りの衝動をコントロールするテクニック:
- 6秒ルール: 怒りのピークは長くて6秒と言われています。カッとなったら、その場を離れたり、心の中で数を数えたりして、衝動的な行動を回避します。
- タイムアウト: 怒りが収まらなければ、「少し頭を冷やしたいから、15分だけ別の部屋に行く」と相手に伝え、物理的に距離を取ります。
- 怒りの記録(アンガーログ): いつ、何に、どのくらいの強さで怒りを感じたかを記録し、自分の怒りのパターンを客観的に把握します。
- 怒りの根源を探る: 怒りの裏には、悲しみ、不安、悔しさ、寂しさといった一次感情が隠れていることがほとんどです。その本当の感情に気づく練習をします。
④ 加害者更生教育プログラム(グループワーク)
専門のNPO法人などが実施している、加害者だけが集まるグループ形式のプログラムです。これが最も効果的だという専門家も多くいます。
- 【メリット】
- 孤立感の解消:「同じ問題で悩んでいるのは自分だけじゃない」と知ることで、孤立感が和らぎ、治療へのモチベーションが高まります。
- 当事者からのフィードバック: 他の参加者の体験談を聞いたり、自分の行動について他の加害者から客観的な意見をもらったりすることで、一人では得られない多くの「気づき」があります。「それは俺もやったけど、結局は支配したいだけだったよ」といった率直な指摘は、専門家から言われるよりも心に響くことがあります。
- 言い訳が通用しない場: 参加者は皆、同じような言い訳や責任転嫁をしてきた過去があるため、安易な自己正当化はすぐに見抜かれます。これが、自分の問題と真摯に向き合う助けになります。
- ロールプレイング: 参加者同士で様々な場面を想定した役割演技(ロールプレイング)を行い、アサーティブなコミュニケーションを実践的に学びます。
最初は参加に抵抗があるかもしれませんが、同じ苦しみを抱える仲間と繋がることは、更生の道を歩む上で大きな支えとなります。
治療にかかる期間と費用(現実的な話)
本気で変わろうとするなら、相応の時間と費用がかかることを覚悟してください。
- 期間:
- 最低でも1年以上は見ておく必要があります。多くの更生プログラムは、週1回、1年〜2年のコースで組まれています。
- 長年かけて形成された思考の癖や行動パターンを変えるには、それだけの時間が必要です。数ヶ月で「治った」と自己判断するのは極めて危険です。再発のリスクが非常に高くなります。
- 費用:
- 公的機関(精神保健福祉センターなど): 相談は無料〜低額なことが多いですが、専門的な治療プログラムは提供していない場合もあります。
- 民間NPOの更生プログラム: 団体によって様々ですが、1回あたり5,000円〜10,000円程度が相場です。年間で計算すると、24万円〜50万円以上になることもあります。
- 医療機関(精神科・心療内科): 精神疾患の治療が目的であれば、健康保険が適用されます。カウンセリングが自由診療(保険適用外)の場合は、1回(50分)8,000円〜15,000円程度が相場です。
「そんなにお金は払えない」と思うかもしれません。しかし、考えてみてください。もしこのまま加害行動を続ければ、慰謝料や弁護士費用でそれ以上のお金を失う可能性があります。何よりも、家族というかけがえのないものを失います。
自分と家族の未来への「投資」だと考えれば、この費用は決して高すぎるものではないはずです。
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第3章 行動を起こす!今すぐ相談できる窓口・専門機関リスト
「変わりたい」という気持ちが固まったら、次は専門機関に電話をかける、メールを送るという具体的な行動に移しましょう。この一歩が、あなたの人生を変えます。
ここでは、全国どこからでもアクセス可能な相談窓口や専門機関を紹介します。
公的な相談窓口(無料・全国)
まずは公的な窓口に相談し、お住まいの地域で利用できる専門機関やプログラムの情報を得るのが良いでしょう。匿名での相談も可能です。
- 配偶者暴力相談支援センター
- 各都道府県・市町村が設置しているDV相談の中心的機関です。本来は被害者支援が主ですが、加害者からの相談を受け付けている場合や、加害者プログラム実施機関を紹介してくれる場合があります。
- 【探し方】 「(お住まいの地域名) 配偶者暴力相談支援センター」で検索してください。内閣府のDV相談プラス(#8008)でも情報提供を受けられます。
- 精神保健福祉センター
- 心の健康に関する相談を受け付けている公的機関です。暴力の背景に精神的な問題があると感じる場合に適しています。医師やカウンセラーが在籍しており、適切な医療機関や支援機関につないでくれます。
- 【探し方】 「(お住まいの地域名) 精神保健福祉センター」で検索してください。
民間の加害者更生プログラム提供団体
より専門的で集中的な治療を望む場合は、民間のプログラムがおすすめです。ここでは代表的な団体をいくつか紹介します。
- NPO法人 女性・人権支援センター ステップ
- DV加害者更生プログラムの草分け的存在。東京に本部がありますが、オンラインでのプログラムも実施している場合があります。
- アウェア(Aware)
- DV加害者プログラムを長年実施しているNPO。デートDV防止教育などにも力を入れています。
- G-PEACE(男性のグループ)
- 関西を拠点に活動するDV加害者自助グループ。当事者同士で支え合いながら変わることを目指します。
※注意:これらの団体以外にも、地域ごとに活動しているNPOや自助グループが存在します。「(地域名) DV 加害者 プログラム」などで検索してみてください。
医療機関
暴力の衝動がコントロールできない、気分の浮き沈みが激しい、アルコールの問題があるなどの場合は、医療機関の受診も検討しましょう。
- 精神科・心療内科
- まずは「人間関係の悩み」「怒りのコントロールができない」といった形で相談してみてください。問診を通じて、背景にある精神疾患の有無を診断し、必要であれば薬物療法やカウンセリングを行ってくれます。加害者プログラムと並行して通院することで、治療効果が高まることもあります。
【相談する際のポイント】
- 正直に話す: 自分を良く見せようとせず、ありのままの状況を話してください。専門家は多くのケースを見ており、あなたを裁くことはありません。
- 「変わりたい」という意思を伝える: 「パートナーに言われて仕方なく来た」という態度ではなく、「自分の意思で、本気で変わりたいと思っている」ことを明確に伝えましょう。
第4章 治療を続ける上での注意点と、被害者への向き合い方
治療の道は長く、平坦ではありません。途中で挫折しそうになったり、間違った方向に進みそうになったりすることもあります。ここでは、治療を続ける上で心に刻んでおくべき重要な注意点を解説します。
被害者(パートナー)への責任を決して忘れない
治療の目的は、あくまで「あなた自身が変わることで、二度と暴力という選択をしない人間になる」ことです。決して、「パートナーに許してもらうため」「関係を修復するため」ではありません。
関係修復は、あなたが変わり、被害者の心身の安全が完全に確保され、その上で被害者自身がそれを望んだ場合にのみ、結果としてついてくるものです。
- 治療を免罪符にしない:「俺はプログラムに通っているんだから、もういいだろう」という態度は最悪です。治療は贖罪(しょくざい)の始まりに過ぎません。
- 被害者に変化を強要しない:「俺は変わろうと努力しているのに、お前はいつまで怒っているんだ」などと言うのは、再び相手を支配しようとする加害行為そのものです。被害者が受けた傷が癒えるには、あなたが想像する以上の時間が必要です。
- 安全の確保を最優先する: 治療中であっても、感情が不安定になることはあります。少しでも暴力の兆候を感じたら、すぐにタイムアウトを取り、物理的な距離を置いてください。可能であれば、治療がある程度進むまでは別居することも、お互いのための賢明な選択です。
「治った」と安易に判断しない
数ヶ月間、暴言や暴力がなかったからといって、「もう治った」と考えるのは非常に危険です。ストレスがかかる状況(仕事の失敗、経済的な問題など)が起きた時に、古いパターンが再燃する可能性は常にあります。
更生とは、ゴールのあるマラソンではなく、一生続く自己との対話です。プログラムを修了した後も、学んだスキルを使い続け、定期的に自分の状態を振り返る習慣を持つことが重要です。
パートナー(被害者)や家族ができること
この記事を、加害者のパートナーやご家族が読んでいる場合もあるかもしれません。もしそうであれば、まずお伝えしたいのは、「あなたのせいでは、絶対にない」ということです。そして、何よりもご自身の安全と心の健康を最優先してください。
- 安全の確保: 危険を感じたら、迷わず警察(110番)や配偶者暴力相談支援センターに相談し、シェルターへの避難なども含めて身の安全を確保してください。
- 「私が彼(彼女)を変えてあげる」という考えは捨てる: あなたがどれだけ愛情を注いでも、加害者自身に「変わる」という固い意志がなければ、何も変わりません。変えられるのは、本人だけです。「共依存」の関係に陥らないよう、境界線を引くことが重要です。
- あなた自身も専門家につながる: あなたもまた、暴力の被害者です。心の傷を癒やすために、カウンセリングを受けたり、被害者のための自助グループに参加したりすることが、あなたの回復にとって非常に重要です。
加害者の治療と、被害者の回復は、それぞれが独立して進められるべきものです。決して、被害者が加害者の治療に責任を負う必要はありません。

まとめ 変わるための一歩は、この記事を読んだ「今」この瞬間にある
この記事では、モラハラ・DV加害者が自分の問題と向き合い、変わるための具体的な道のりを示してきました。
- 加害行動は、幼少期の経験や低い自己肯定感など、根深い原因から生じる。
- 自分の行動が「暴力」であり、「100%自分の責任」であると認めることが第一歩。
- 認知行動療法やグループワークなどの専門的な治療は、変化のために不可欠。
- 治療には1年以上の時間と相応の費用がかかるが、それは未来への投資である。
- 全国には、あなたを助けてくれる公的・民間の専門機関が必ず存在する。
もしかしたら、あなたはまだ「本当に変われるだろうか」「相談するのが怖い」という不安の中にいるかもしれません。それは当然の感情です。
しかし、考えてみてください。このまま何もせず、今の関係を続けた先に、どんな未来が待っているでしょうか?
大切な人を失い、子どもを傷つけ、社会的な信用も失い、孤独と後悔の中で生きていく未来ではないでしょうか。
今、あなたの目の前には、別の道があります。
それは、自分の弱さや過ちと向き合う、苦しく険しい道かもしれません。しかし、その道の先には、暴力に頼らずに人と対等な関係を築き、自分自身を尊重し、穏やかな心で生きていく未来が待っています。
変わるための最初の、そして最も偉大な一歩は、あなたが「変わりたい」と願い、この記事をここまで読み通した、まさに「今」この瞬間に踏み出されています。
次は、電話をかける、メールを送るという、物理的な一歩です。
この記事で紹介した相談窓口の連絡先を、今すぐスマートフォンで検索してみてください。その小さな行動が、あなたの人生を、そしてあなたの大切な人の人生を、破滅から救うための大きな転換点になるはずです。
あなたの勇気を、心から応援しています。
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