
「最近なんだか疲れが取れない。でも、仕事が特別忙しいわけでもないし、悩み事があるわけでもない」
「家族や同僚から『ストレス溜まってるんじゃない?』と言われるけれど、正直ピンとこない」
「ストレスって、みんなどうやって気づいているんだろう」
もしあなたがこのように感じているなら、この記事はきっと役に立ちます。
実は、「ストレスがわからない」「ストレスを感じない」という状態は、決してめずらしいものではありません。 そして、ストレスを自覚できていないことと、ストレスを受けていないことは、まったく別の話です。自覚がないまま心身に負担が積み重なり、ある日突然、朝起き上がれなくなったり、涙が止まらなくなったりして初めて「限界だったのだ」と気づく方も少なくありません。
この記事では、「ストレス わからない 心理」というテーマについて、心理学・精神医学の知見や公的機関の調査データをもとに、できるだけやさしい言葉で解説します。
- 1. ストレスがわからないとは?まず知っておきたい4つのパターン
- 2. 【セルフチェック】あなたのストレス自覚度を確認してみよう
- 3. ストレスがわからない7つの心理的原因
- 4. 本人が気づきにくい「ストレスのサイン」一覧
- 5. ストレスに気づかないまま放置するとどうなる?
- 6. ストレスに気づくための7つの方法
- 7. ストレスに気づいた後のセルフケア
- 8. 事例で見る「ストレスがわからない」人の変化
- 9. 家族・パートナー・同僚がストレスに気づけない人にできること
- 10. 受診の目安と相談先
- 11. よくある質問(FAQ)
- 12. まとめ:ストレスがわからないのは、あなたのせいではありません
- 13. 参考文献・出典
1. ストレスがわからないとは?まず知っておきたい4つのパターン

一口に「ストレスがわからない」といっても、実はその中身は人によってさまざまです。検索している方の多くは、次のどれか(あるいは複数)に当てはまるのではないでしょうか。
パターン①:自分がいまストレスを感じているのかわからない
もっとも多いのがこのタイプです。体は重い、眠りが浅い、なんとなく気分が晴れない。けれど「これがストレスです」と言われても、自分の状態として実感が湧きません。
「ストレスを感じる」ということは、本来、体の反応(動悸、肩のこわばり、胃の重さなど)や気持ちの動き(イライラ、不安、落ち込み)を自分でキャッチし、「いま自分は負担がかかっている」と解釈するプロセスです。このキャッチ、あるいは解釈のどこかがうまく働いていないと、「わからない」という感覚になります。
パターン②:ストレスという言葉が何を指すのかわからない
「ストレス」という言葉は、日常会話では「嫌なこと」「疲れること」「イライラすること」など、とても幅広い意味で使われています。そのため、「ストレスを感じていますか?」と聞かれても、何を基準に答えればよいのかわからなくなってしまうことがあります。
心理学でいうストレスとは、もともとは物理学の用語で「外から力が加わって物体がゆがんだ状態」を指す言葉でした。これを医学・生理学に持ち込んだのが、ハンス・セリエ(1936年)です。セリエは、外から加わる刺激をストレッサー、それによって心身に生じる反応をストレス反応と区別しました。
つまり、「ストレスがわからない」の背景には、「ストレッサー(原因)がわからない」のか、「ストレス反応(結果)がわからない」のかが混ざっていることがあります。この区別をつけるだけでも、頭の中が整理されやすくなります。
パターン③:何がストレスの原因なのかわからない
「体調は悪いし、気分も重い。ストレスがあるのは何となくわかる。でも、何が原因なのかがわからない」というタイプです。
ストレッサーは、仕事の人間関係や長時間労働といった目立つものだけではありません。引っ越し、結婚、昇進、出産といった一般的には「おめでたい」とされる変化もストレッサーになり得ます。また、騒音、暑さ寒さ、睡眠不足などの物理的な環境、将来への漠然とした不安など、一つひとつは小さくても積み重なると大きな負荷になるものもあります。
原因が一つに絞れないのは自然なことです。「原因探し」に固執しすぎず、まずは「いまの状態を把握する」ことから始めるのが近道です。
パターン④:他の人のストレスがわからない
「同僚が『もう無理』と言っているけれど、そんなに大変なのか理解できない」「パートナーのストレスにどう寄り添えばいいかわからない」という、他者のストレスに関する戸惑いもあります。
これは、自分自身のストレスに気づきにくい人が、他者の感情の読み取りにも難しさを感じやすい、という傾向と関連することがあります。この点は第9章で詳しく扱います。
「ストレスを感じない」と「ストレスがない」は違う
ここで最も大切なポイントをお伝えします。
「ストレスを感じていない」ことは、「ストレスを受けていない」ことを意味しません。
たとえば、体温計が壊れていて37度と表示されていても、実際に熱があるかどうかはわかりません。それと同じで、ストレスの自覚という「センサー」が鈍っているだけで、心身にはしっかり負荷がかかっているケースがあるのです。
ストレスの「感じ方」と「受けている量」は別物。この前提を押さえておくと、この先の話がぐっと理解しやすくなります。
2. 【セルフチェック】あなたのストレス自覚度を確認してみよう

まずは、現在の状態をざっくり把握してみましょう。次の15項目のうち、ここ1か月で「よくある」「しばしばある」ものにチェックを入れてみてください。
A.体と生活のサイン(5項目)
- 寝つきが悪い、夜中や早朝に目が覚める、または寝ても疲れが取れない
- 肩こり・頭痛・胃の不調・めまいなど、原因のはっきりしない体の不調が続く
- 食欲が極端に落ちた、または甘いものやお酒が増えた
- 以前は楽しめていた趣味や休日の過ごし方に、興味が湧かない
- 朝、布団から出るのに強い抵抗がある
B.感情と思考のサイン(5項目)
- 「楽しい」「悲しい」「悔しい」など、自分の気持ちを聞かれても言葉にしづらい
- 些細なことで急にイライラする、または逆に何も感じなくなる
- 「これくらい、みんな我慢している」とつい考えてしまう
- 自分の気持ちより、周りの期待や状況を優先するのが当たり前になっている
- 集中力が続かない、ケアレスミスが増えた
C.対人・行動のサイン(5項目)
- 人から「疲れてない?」「顔色悪いよ」「無理してない?」と言われることが増えた
- 「大丈夫」「平気」が口ぐせになっている
- 人に相談するより、一人で抱え込むことが多い
- 休むことに罪悪感がある、または休み方がわからない
- 以前より人と会うのが億劫、またはメッセージの返信が負担に感じる
結果の見方
| チェック数 | 目安 |
|---|---|
| 0〜3個 | 現時点では大きな負担は少なそうです。ただし、自覚が弱い方は定期的なセルフチェックがおすすめです。 |
| 4〜8個 | 気づかないうちに負担が蓄積している可能性があります。第6章の方法で、まず自分の状態を観察してみましょう。 |
| 9個以上 | 心身がかなり疲れているサインかもしれません。生活の見直しに加え、信頼できる人や専門家への相談も検討してください。 |
特に注目してほしいのが、Aの「体と生活のサイン」にチェックが多く、Bの「感情と思考のサイン」が少ないというパターンです。これは、気持ちとしては自覚がないのに、体が先にSOSを出している典型的な形です。次章で、その心理的な背景を見ていきましょう。
3. ストレスがわからない7つの心理的原因

では、なぜストレスに気づけなくなってしまうのでしょうか。ここでは、心理学・精神医学の知見から、代表的な7つの原因を紹介します。一人の中に複数が重なっていることも珍しくありません。
原因①:アレキシサイミア(失感情症)の傾向
「ストレスがわからない」という悩みで最もよく挙げられるのが、アレキシサイミア(alexithymia/失感情症)という概念です。
アレキシサイミアは、1970年代に精神科医のネミアとシフネオスらが提唱した用語で、ギリシャ語で「感情(thymos)を読む言葉(lexis)がない(a-)」という意味を持ちます。心身症の患者さんに共通して見られる特徴として報告されたのが始まりです。
主な特徴は、次の3つにまとめられます。
- 感情の同定困難:自分がいま何を感じているのか、わからない
- 感情の伝達困難:感じていることを言葉にして他人に伝えるのが苦手
- 外的志向の思考:内面(気持ち)より、出来事や事実、物事の手順に意識が向きやすい
ここで大切なのは、アレキシサイミアは病名ではなく、誰にでも程度の差があるパーソナリティ(性格)の特性だという点です。診断名ではなく、あくまで「傾向」を示す概念として研究されています。一般成人でも、強い傾向を持つ方が約1割程度いるとする報告があります(報告によって幅があります)。国際的にはトロント・アレキシサイミア尺度(TAS-20)という質問紙で測定されることが多く、日本語版も作られています。
アレキシサイミア傾向のある方は、ストレスを感じていないのではなく、ストレスを「感情」として認識し、言葉にするプロセスが苦手なのです。そのため、感情ではなく体の症状(頭痛、腹痛、動悸など)としてストレスが現れやすいとされています。
原因②:内受容感覚の鈍さ
もう一つ注目されているのが、内受容感覚(interoception)です。
内受容感覚とは、心拍、呼吸、空腹、のどの渇き、体温、筋肉の緊張など、体の内側の状態を感じ取る感覚のことです。神経科学者のクレイグ(2002年)らの研究以降、感情の体験と深く関わる感覚として注目されています。
感情には、次のような流れがあると考えられています。
体の変化(心臓がドキドキする・胃が縮む)→ 脳がそれを感知 → 状況と合わせて「これは不安だ」「緊張している」と解釈
この最初の「体の変化を感知する」部分が弱いと、緊張や疲労のサインを見逃しやすくなります。「気づいたら限界まで走っていた」「お腹が空いたことにも気づかず夜になっていた」という方は、この感覚が控えめなのかもしれません。
内受容感覚には個人差があり、また、生活習慣や練習によって変化することも知られています。第6章で紹介するボディスキャンなどは、この感覚を育てる方法の一つです。

原因③:過剰適応(いい人・頑張り屋でいることが習慣になっている)
過剰適応とは、周囲の期待や環境のルールに、自分の気持ちを後回しにしてまで合わせようとする心理傾向を指します。
「頼まれたら断れない」「場の空気を読んで自分の意見を引っ込める」「期待に応えないと価値がないと感じる」といった行動が長年続くと、自分の気持ちを感じる前に、周囲に合わせる行動が自動的に出るようになります。
すると、「疲れた」「嫌だ」「もうやりたくない」という感情が生まれても、無意識のうちにフタをしてしまい、本人は「別に何も感じていない」と思い込むことがあります。責任感が強く、周囲からの評価も高い人ほど、この傾向に陥りやすいとされます。
原因④:感情を出しにくい環境で育った
幼少期から思春期にかけての環境も、感情への気づきやすさに影響すると考えられています。
- 「泣くんじゃない」「男(女)の子でしょ」と、感情を出すことを止められた
- 親や周囲の大人の機嫌をうかがって過ごす必要があった
- 家庭内で、感情について話す習慣がなかった
- 「頑張ること」「我慢すること」が評価される環境だった
こうした環境で過ごすと、「感情を感じても意味がない」「感じないほうが安全」という学習が起こり、感情にアクセスする力が育ちにくくなることがあります。ただし、これは決して親や本人のせいという意味ではありません。当時の環境に適応するために身につけた、いわば「生き延びる工夫」だったのです。大人になってから、新しい学び直しをすることは十分に可能です。

原因⑤:ストレス反応の「抵抗期」で頑張れてしまっている
セリエのストレス学説によると、ストレスにさらされた体は、おおよそ次の3つの段階をたどります。
| 段階 | 状態 |
|---|---|
| ①警告反応期 | ストレスを受けた直後。動悸・緊張など、体が一時的に「ショック」を受け、その後に対抗する準備を整える時期 |
| ②抵抗期 | ストレスに対して体が適応し、一見すると元気に過ごせる時期。ただし、見えないところでエネルギーを消費し続けている |
| ③疲憊期 | 適応するエネルギーが尽き、さまざまな心身の不調が表面化する時期 |
注目したいのは②の抵抗期です。この時期は、気力で乗り切れてしまうため、「自分はストレスに強い」「平気だ」と感じやすいのです。しかし、実際には体のリソースを使い続けており、③の疲憊期に突入したときに、突然ガクッと調子を崩すことがあります。
「昨日まで普通に働いていたのに、急に動けなくなった」という話の裏には、この抵抗期の長期化が隠れていることがあります。
原因⑥:慣れによる「ストレスの基準値」のシフト
人間の脳には、環境に慣れる力(順応)があります。これは生きていくうえで大切な機能ですが、ストレスの自覚という点では「落とし穴」にもなります。
たとえば、残業が当たり前の職場で何年も働いていると、「このくらいの忙しさが普通」という基準が書き換わります。本来なら異常なレベルの負荷でも、「通常運転」として扱われ、自覚が薄れるのです。
これは、騒がしい場所に長くいると、騒音が気にならなくなる現象に似ています。気にならなくなったからといって、耳(心身)への負担が消えたわけではありません。
原因⑦:認知のクセ(ストレスを小さく見積もってしまう)
心理学者のラザルスとフォルクマン(1984年)は、同じ出来事でも、その人がどう受け止める(認知的評価をする)かによって、ストレスの感じ方が変わると提唱しました。
「ストレスがわからない」方の中には、次のような認知のクセを持つ方がいます。
- 過小評価:「このくらい大したことない」「もっと大変な人がいる」
- 自己責任化:「うまく対処できない自分が悪い」「弱音を吐くのは甘え」
- 感情より行動:「落ち込んでいる暇があったらやるべきことをやる」
- 完璧主義:「ストレスを感じること自体が、未熟な証拠」
こうした考え方が強いと、ストレスのサインに気づいても、「気のせい」「甘え」として自分で打ち消してしまいます。結果として、サインがあっても「自覚しない」状態が続いてしまうのです。
補足:ほかに考えられる要因
上記のほかにも、次のような要因が関わることがあります。
- 慢性的な睡眠不足や疲労:体の感覚がそもそも鈍くなる
- うつ状態・抑うつ:「感情が麻痺したように感じる」ことがある
- トラウマ体験・解離傾向:つらさから心を守るために、感覚や感情が切り離される
- 発達特性との関連:自閉スペクトラム症の特性がある方で、アレキシサイミアの傾向を併せ持つ割合が高いとする研究報告がある(ただし、全員に当てはまるわけではありません)
「感情がなくなったように感じる」「現実感がない」といった状態が続く場合は、単なる性格のせいにせず、医療機関への相談を検討してください。
4. 本人が気づきにくい「ストレスのサイン」一覧

「自分では気づけない」からこそ、サインのパターンを知識として知っておくことが大切です。ストレスのサインは、大きく「体」「行動」「感情・思考」の3つに現れます。
体に現れるサイン
- 寝つきが悪い、途中で目が覚める、朝早く目が覚める、寝ても疲れが取れない
- 頭痛、肩こり、首こり、背中の張り
- 胃の痛み、吐き気、下痢・便秘を繰り返す(過敏性腸症候群のような症状)
- 動悸、息苦しさ、めまい、耳鳴り
- 食欲がない、または過食になる
- 風邪をひきやすい、口内炎ができやすい、肌荒れが続く
- 生理不順、性欲の低下
行動に現れるサイン
- 遅刻・欠勤が増える、または逆に休まず働きすぎる
- ミスや忘れ物が増える
- お酒、タバコ、カフェイン、甘いものの量が増える
- スマホやゲーム、動画視聴を延々としてしまう
- 身だしなみに無頓着になる、部屋が散らかる
- 人付き合いを避ける、連絡を返さなくなる
- 衝動買いや浪費が増える
感情・思考に現れるサイン
- 理由のないイライラ、怒りっぽさ
- 不安感、焦り、落ち着かなさ
- 気分の落ち込み、涙もろさ
- 何をしても楽しくない、感情が動かない(感情の平板化)
- 集中できない、決断ができない
- 悲観的な考えが止まらない
- 「消えたい」「いなくなりたい」という考えが浮かぶ(※この場合は第10章の窓口へ早めにご相談ください)
「ストレスがわからない人」ほど体と行動に出やすい
感情の自覚が弱い方は、体のサインと行動のサインが先に出る傾向があります。「気持ちは平気なのに、なぜか頭痛が続く」「やる気はあるつもりなのに、朝ベッドから出られない」といった形です。
特に、睡眠・食欲・疲労感の3つは、最も信頼できる「バロメーター」です。気持ちの面で自覚がなくても、この3つが乱れているなら、「体は負担を訴えているのかもしれない」と考えてみましょう。
5. ストレスに気づかないまま放置するとどうなる?

「自覚がないなら、別に困らないのでは?」と思う方もいるかもしれません。しかし、ストレスに気づかないまま負荷がかかり続けると、次のようなリスクが高まります。
心身症(ストレス関連の身体疾患)
日本心身医学会は、心身症を「身体疾患の中で、その発症や経過に心理社会的な因子が密接に関与し、器質的ないし機能的な障害が認められる病態」と定義しています(※病名ではなく病態の概念)。
胃・十二指腸潰瘍、過敏性腸症候群、緊張型頭痛、高血圧、気管支ぜんそく、アトピー性皮膚炎などが、ストレスによって悪化することがあるとされます。感情として自覚しにくい方ほど、ストレスが「体の症状」として現れやすいため、内科を何度受診しても原因がはっきりしない、というケースが起こりえます。
適応障害・うつ病などのメンタル不調
適応障害は、はっきりとしたストレス要因(職場、家庭、学校など)に対して心身のバランスが崩れ、日常生活に支障が出ている状態を指します。うつ病は、気分の落ち込みや興味・喜びの喪失が2週間以上ほぼ毎日続き、生活に支障をきたす状態です。いずれも、早期の気づきと対応が回復に影響すると考えられています。
「突然の限界」とバーンアウト
自覚がないまま頑張り続けると、ある日、前触れもなく急に動けなくなる「突然の限界」が訪れることがあります。「あんなに元気だったのに」と周囲も驚き、本人も自分に何が起こったのかわからず混乱します。
燃え尽き(バーンアウト)という状態に至ると、回復には時間がかかります。ダメージが小さいうちに気づくことが、最大の予防策です。
厚生労働省の調査から見る、働く人のストレス
厚生労働省の「労働安全衛生調査(実態調査)」によると、現在の仕事や職業生活に関することで強い不安・悩み・ストレスを感じている労働者の割合は、2023年調査で82.7%、2024年調査では68.3%でした。年によって数値に開きがありますが(※令和4年調査から設問の形式が変更されています)、3人に2人以上が強いストレスを感じているというのが、日本の働く人の現状です。
同じ2023年調査では、ストレスを相談できる人がいる労働者は94.9%にのぼる一方、その相談先は「家族・友人」や「同僚」が中心で、産業医や外部の相談窓口は一部にとどまっていました。つまり、ストレスを感じていても、専門的なサポートにはつながっていない人が多いことがうかがえます。
さらに、「自分のストレスがわからない」場合は、そもそも相談という行動に結びつきにくいという課題もあります。だからこそ、自分で気づくための手がかりを持っておくことが重要なのです。
6. ストレスに気づくための7つの方法
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ここからは、実践編です。「感じる力」は、練習によって少しずつ育てることができます。すべてを一度にやる必要はありません。やりやすそうなものを1つ選んで、1〜2週間続けてみるくらいの気持ちで取り組んでみてください。
方法①:体のサインを観察する(ボディスキャン)
ストレスに気づく入り口として最もおすすめなのが、体の感覚に注意を向けるボディスキャンです。感情が捉えにくくても、体の感覚は比較的キャッチしやすいからです。ボディスキャンは、マインドフルネスストレス低減法(MBSR)の中核的な練習として、ジョン・カバットジンらによって広められました。
やり方(約3〜5分)
- 椅子に座るか、仰向けに寝て、目を閉じるか、視線を落とす
- 足先に意識を向け、「温かい」「冷たい」「ジンジンする」「何も感じない」など、そのまま観察する
- ふくらはぎ、太もも、お尻、お腹、胸、背中、肩、腕、手、首、顔、頭へと、少しずつ上に意識を移す
- 特に「こわばっている」「重い」「痛い」「息が浅い」場所があれば、ただ気づく(無理に緩めなくてよい)
- 最後に全身をまとめて感じ、ゆっくり呼吸して終える
ポイントは、「感じなければ」と頑張らないことです。「何も感じない」ことも立派な観察結果です。それを毎日続けることで、少しずつ、微細な変化に気づけるようになっていきます。
方法②:1日3回の「チェックイン」を習慣にする
アラームやスマホのリマインダーを使って、朝・昼・夜の1日3回、1分だけ自分の状態を確認する習慣をつくりましょう。
確認する項目(4つだけ)
- 体:肩・首・お腹・呼吸はどうか?(緊張/楽)
- 気分:今日の気分を10点満点で表すと何点か?
- エネルギー:元気度は10点満点で何点か?
- 一言:いまの状態を一言で表すと?(例:「ぼんやり」「ざわざわ」「重い」「普通」)
細かく分析する必要はありません。数字と一言を、スマホのメモに記録するだけで十分です。1〜2週間続けると、「月曜の午後は必ず下がる」「会議の後はエネルギーが落ちる」といった自分のパターンが見えてきます。これは、ストレッサーの特定にも直結します。
方法③:感情ラベリング(感情の語彙を増やす)
「イライラ」「モヤモヤ」「疲れた」「別に」の4語だけで感情を表現していないでしょうか。感情を表す言葉の数が増えるほど、感情を認識しやすくなるとされています。
UCLAのリーバーマンらの研究(2007年)では、感情を言葉にする(ラベリングする)ことで、感情に関わる脳の扁桃体の活動が低下することが報告されています。つまり、感情を言葉で表すことは、感情を落ち着かせることにもつながると考えられています。
感情のことばリスト(一例)
| 系統 | 例 |
|---|---|
| 不安・緊張系 | ざわざわ、そわそわ、ひやひや、心細い、焦る、気が重い、落ち着かない |
| 怒り・不満系 | むっとする、腹が立つ、納得できない、悔しい、もどかしい、うんざり |
| 悲しみ・落ち込み系 | 寂しい、切ない、むなしい、がっかり、やるせない、しんどい |
| 疲労・無気力系 | くたくた、ぐったり、ぼんやり、投げやり、やる気が出ない、空っぽ |
| 安心・喜び系 | ほっとする、のんびり、わくわく、満たされる、うれしい、心地よい |
使い方:チェックインのとき、「いまの気分は、この中のどれに近いかな?」と探してみます。ぴったりでなくても構いません。「どちらかといえば、ざわざわかな」程度の感覚で十分です。
方法④:書く(ストレス日記・エクスプレッシブ・ライティング)
心理学者ペネベイカーらは、つらい出来事や感情について書き出すことが、心身の健康に良い影響を与える可能性を報告しています(1986年ほか)。
やり方(1日5〜10分、3〜4日連続)
- タイマーを5〜10分にセットする
- 最近気になっていること、モヤモヤしていること、体の感覚を、文法や構成を気にせず書く
- 書いたものは人に見せなくてよい。読み返さなくても、捨ててもよい
書くことに慣れていない方は、次の「3行日記」から始めてみてください。
- 今日いちばん体が重かった(疲れた)のはいつ?
- 今日いちばん気持ちが動いたのは、どんな場面?
- 明日の自分に、いま必要なものは?(睡眠?休憩?誰かと話すこと?)
注意点:トラウマ的な出来事を書くと、かえってつらくなる場合があります。強い苦痛を感じたら、すぐに中断し、専門家に相談してください。

方法⑤:自分専用の「バロメーター」を決める
感情の自覚が難しい方は、行動や習慣の変化を「ストレスのバロメーター」にする方法が有効です。
自分にとっての指標を3つほど決めて、「この状態になったら要注意」というラインを事前に決めておきます。
| 指標の例 | 要注意ラインの例 |
|---|---|
| 睡眠 | 3日続けて6時間未満/夜中に2回以上目が覚める |
| 食事 | 朝食を3日続けて抜く/お菓子・お酒の量が急に増える |
| ミス | 同じ週に、ケアレスミスが3回以上ある |
| スマホ | 寝る前の動画・SNSが1時間を超える日が続く |
| 休日 | 休みの日に何もする気が起きず、1日寝て過ごす日が続く |
| 体 | 肩こり・頭痛・胃の不調が2週間以上続く |
「ライン」を超えたときは、気持ちの自覚の有無にかかわらず、予定を減らす、早く寝る、誰かに話すといった行動に切り替えます。これは「感じたら対処する」のではなく、「データが出たら対処する」という考え方です。
方法⑥:他者の目を借りる
自分では気づかないことも、周囲の人からは見えている場合があります。信頼できる人(家族、パートナー、友人、同僚)に、次のように聞いてみましょう。
- 「最近の私、どんな様子に見える?」
- 「私が疲れているとき、どんなサインが出てる?」
- 「前と比べて、変わったことってある?」
「いつもより口数が少ない」「眉間にしわが寄っている」「LINEの返信が遅い」など、自分では気づかない自分のサインを教えてもらえます。そのサインを覚えておくと、自分でもセルフチェックに使えます。
また、「疲れてない?」と声をかけられたとき、反射的に「大丈夫」と答える前に、一度立ち止まって「本当にそうかな」と自分に問う習慣をつけてみてください。
方法⑦:ストレスチェックや専門家の力を借りる
自分でもよくわからないときは、客観的な指標や専門家の力を借りるのも有効です。
- ストレスチェック制度:労働安全衛生法に基づき、従業員50人以上の事業場では年1回の実施が義務づけられています(職業性ストレス簡易調査票などを使用)。結果は本人にのみ通知され、本人の同意なく事業者に伝わることはありません。小規模事業場の扱いは制度改正が進んでいるため、最新情報は厚生労働省のサイトで確認してください。
- 厚生労働省「こころの耳」のセルフチェック:働く人向けのメンタルヘルス・ポータルサイトで、5分でできるストレス診断などが公開されています。
- カウンセリング・心療内科・精神科:感情の整理や、体の症状の背景にあるストレスを一緒に探すことができます。カウンセリングでは、感情を言葉にする練習を専門家のサポートのもとで進められます。
「病院に行くほどではない」と思っていても、「自分の状態を知るために相談する」という使い方で構いません。
7. ストレスに気づいた後のセルフケア

気づくことは、ゴールではなくスタートです。ストレスに気づいたら、次のようなセルフケアを取り入れてみましょう。
① まずは「休む」を最優先に
睡眠は、最も基本的で効果的なストレス対策です。就寝・起床時間をなるべく一定にし、寝る前の1時間はスマホや強い光を避けるなど、睡眠環境を整えましょう。「休むことに罪悪感がある」方は、休息は怠けではなく、パフォーマンスを維持するための必要な作業だと捉え直してみてください。
② 呼吸で自律神経を整える
緊張が続くと、交感神経が優位になり、呼吸が浅く速くなりがちです。次の呼吸法は、手軽に試せます。
- 背筋を伸ばして座り、鼻から4秒かけて息を吸う
- 口から6〜8秒かけて、ゆっくり吐き切る
- 3〜5分繰り返す
「吸うよりも吐くほうを長く」がポイントです。途中で気分が悪くなる場合は無理をせず、通常の呼吸に戻してください。
③ 体を動かす
ウォーキングやストレッチなど、軽い運動は気分の安定に役立つと考えられています。激しい運動である必要はありません。1日10〜20分、外を歩くところから始めてみましょう。日光を浴びることで、睡眠リズムも整いやすくなります。
④ 「やらないことリスト」をつくる
過剰適応の傾向がある方は、「やること」を増やすより「やらないこと」を決めるほうが効果的な場合があります。たとえば次のようなものです。
- 夜21時以降は、仕事のメールを見ない
- 週に1日は、予定を入れない日をつくる
- 頼まれごとは、その場で即答せず「確認して明日お返事します」と伝える
⑤ 環境そのものを調整する
セルフケアだけでは限界があるのが、ストレッサーそのものです。長時間労働、ハラスメント、過大な業務量などが原因の場合、個人の努力では解決できません。上司や人事、産業医への相談、配置転換や業務量の調整を検討しましょう。
⑥ 誰かに話す
話す相手は、友人、家族、同僚、職場の相談窓口、カウンセラーなど、誰でも構いません。うまく話そうとしなくて大丈夫です。「最近、なんだか調子が出なくて」の一言から始めましょう。言葉にすること自体が、気づきにつながります。
8. 事例で見る「ストレスがわからない」人の変化

※以下は、プライバシーに配慮し、一般的によく見られるパターンをもとに構成した架空の事例です。
事例:30代・会社員Aさん(仮名)
Aさんは、責任感が強く、周囲からの信頼も厚いタイプ。ここ半年、残業が続いていたものの、「忙しいのはいつものこと」と、特に深刻には受け止めていませんでした。
ある日、職場の先輩から「最近、顔色が悪いよ。ストレスたまってない?」と言われましたが、Aさん自身は「別にストレスなんて感じていない」と答えました。ところがその頃から、頭痛、肩こり、不眠が続き、休日は一日中寝て過ごすようになっていました。
あるとき、友人に勧められて「1日3回のチェックイン」を始めてみました。すると、次のことに気づきました。
- 月曜の朝と、会議の前後で、必ず肩と呼吸の緊張が強まっている
- 気分は「普通」と書いていても、エネルギーの点数が毎日4〜5点(10点満点)に低下している
- 「ざわざわ」という一言が、ほぼ毎日出てくる
この記録を持って、会社の産業医と面談し、業務量の調整と睡眠の見直しに取り組みました。数か月後には、体調が少しずつ安定。Aさんは「ストレスを感じなかったのではなく、感じ方を知らなかっただけだった」と振り返っています。
このように、感情の自覚がなくても、体のデータ・行動のデータから、自分の状態を知ることはできるのです。
9. 家族・パートナー・同僚がストレスに気づけない人にできること
身近な人が「ストレスがわからない」タイプの場合、周囲の関わり方が大きな助けになります。
やってはいけない関わり方
- 「ストレス溜まってるでしょ」「無理してるよね」と決めつける
- 「気持ちを言ってくれないとわからない」と責める
- 「もっと頑張っている人はいる」「甘えだ」と否定する
- 本人が「大丈夫」と言うのを、そのまま信じて放置する
おすすめの関わり方
- 事実ベースで伝える 「最近、帰宅が遅いね」「ごはんの量が減ったように見えるよ」「ため息が増えた気がする」など、観察した事実を伝えます。感情の推測ではなく、行動や様子をそのまま伝えるのがポイントです。
- 選択肢を出して聞く 「疲れてる?」と聞くより、「今日は『疲れ気味』『イライラ気味』『ぼんやり』のどれが近い?」と、言葉の選択肢を示すと、答えやすくなります。
- 「話さなくてもいい」安心感を伝える 「話したくなったら、いつでも聞くよ」と伝え、無理に聞き出さないこと。感情を言葉にするには、安心できる場が必要です。
- 休息や受診をさりげなく提案する 「一緒に散歩しよう」「今度の休み、ゆっくりしよう」など、負担の少ない形で提案しましょう。体の不調が続いている場合は、「一度、検査もかねて病院に行ってみない?」と伝えてみてください。
「他人のストレスがわからない」と悩む人へ
自分のストレスに気づきにくい人は、他者の感情を読み取ることにも難しさを感じることがあります。これは冷たいからでも、共感力がないからでもありません。感情を「理解する」ための入口が違うだけです。
そのような場合は、「相手の気持ちを当てよう」とするより、「いまどんな気持ち?」「何かできることはある?」と、素直に聞くことが、最も確かな寄り添い方です。
10. 受診の目安と相談先

こんなときは、早めに専門家へ
次のような状態が2週間以上続いている場合は、医療機関への相談をおすすめします。
- 眠れない、または寝すぎてしまう状態が続く
- 食欲が大きく変化し、体重が増減している
- 気分の落ち込み、不安、イライラが強く、日常生活に支障がある
- 仕事や家事、学校に行けない、または行くのが極端につらい
- 以前楽しめたことに、まったく関心が持てない
- 原因のはっきりしない体の不調が続き、内科で異常が見つからない
- 感情がなくなったように感じる、現実感がない
- 「消えてしまいたい」「死にたい」という考えが浮かぶ
どの診療科に行けばよい?
- 心療内科:ストレスが原因で体に症状が出ている場合(頭痛、胃腸の不調、不眠など)
- 精神科:気分の落ち込み、不安、意欲低下など、心の症状が中心の場合
- かかりつけ医・内科:まずは体の病気がないか確認したい場合。必要に応じて専門科を紹介してもらえます
迷う場合は、お近くの心療内科・精神科に「ストレスが原因かどうか調べたい」と相談して構いません。
相談窓口(無料・匿名で利用できるものを含みます)
| 窓口 | 内容 |
|---|---|
| こころの健康相談統一ダイヤル(0570-064-556) | お住まいの都道府県・政令指定都市の公的な相談窓口につながります |
| よりそいホットライン(0120-279-338) | 24時間対応の無料電話相談(対応状況は公式サイトでご確認ください) |
| 厚生労働省「まもろうよ こころ」 | 電話・SNS相談の窓口を一覧で確認できる公式ポータル |
| 厚生労働省「こころの耳」 | 働く人・事業者向けのメンタルヘルス情報、相談窓口の案内 |
| 職場の産業医・保健師、EAP(従業員支援プログラム) | 勤務先に設置されている場合に利用可能 |
※電話番号や受付時間は変更される場合があります。ご利用前に、各公式サイトで最新の情報をご確認ください。
もし今、命にかかわるほどつらい気持ちがある場合は、ひとりで抱え込まず、上記の窓口に連絡するか、緊急の場合は119番や最寄りの救急外来へ連絡してください。
11. よくある質問(FAQ)

Q1.ストレスを感じない人は、本当にストレスがないのですか?
ストレスが少ない場合もありますが、「感じていない」ことと「受けていない」ことは別です。睡眠、食欲、体調、ミスの増減など、体や行動のサインに変化がないかを確認してみてください。変化があるのに自覚がない場合は、ストレスを感じ取るセンサーが働きにくくなっている可能性があります。
Q2.ストレスを感じにくいのは、性格の問題ですか?
性格や気質が影響している可能性はありますが、「欠点」ではありません。アレキシサイミアの傾向や過剰適応は、これまでの環境で身につけた適応の仕方でもあります。また、感じ取る力は練習によって育てることができます。
Q3.アレキシサイミアは病気ですか?治りますか?
アレキシサイミアは病名ではなく、感情の認識や表現のしやすさに関するパーソナリティ特性です。医学的な「治療」の対象というより、「感情に気づくスキルを育てる」というイメージで、セルフケアやカウンセリングで変化を目指すことができます。うつ病や不安症などを併発している場合は、その治療も並行して行います。
Q4.ストレスがわからないのに、体調だけ悪いのはなぜですか?
感情として自覚しにくい場合、ストレスが体の症状(頭痛、胃痛、不眠、動悸など)として現れやすいと考えられています。内科などで検査をして異常がなければ、ストレスが関係している可能性もあるため、心療内科への相談も選択肢になります。
Q5.「ストレスがない」ことが、むしろ心配になります。大丈夫でしょうか?
ストレスがまったくない人は、ほとんどいません。ストレスは「ないほうがよいもの」ではなく、適度であれば成長のきっかけにもなります。心配であれば、この記事のセルフチェックや第6章の方法で、まずは現在の状態を観察してみましょう。
Q6.感情がなくなったように感じます。これは異常ですか?
強いストレスや疲労、うつ状態では、感情が平板になったり、麻痺したように感じることがあります。数週間以上続く場合、または現実感がない状態が続く場合は、早めに精神科・心療内科に相談してください。
Q7.子どもが「ストレスがわからない」と言います。どう対応すればよいですか?
子どもは、感情を表す言葉がまだ少ないため、「わからない」と答えることが多くあります。「悲しい?」「腹が立った?」と、感情の選択肢を示したり、「お腹が痛い」「頭が重い」など体の感覚から聞いたりすると、答えやすくなります。長引く不調や登校しぶりがある場合は、学校のスクールカウンセラーや小児科、児童精神科などに相談してください。
Q8.ストレスチェックで「問題なし」だったのに、不調が続いています。
ストレスチェックは、自己回答式の質問紙であるため、自覚が弱い場合は、実際の状態よりも低く出る可能性があります。結果に関わらず、不調が続く場合は、医療機関に相談してください。

12. まとめ:ストレスがわからないのは、あなたのせいではありません
最後に、この記事のポイントを整理します。
- 「ストレスがわからない」には、自覚できない/意味がわからない/原因がわからない/他人のストレスがわからないという4つのパターンがある
- 「ストレスを感じない」ことは「ストレスがない」ことを意味しない
- 背景には、アレキシサイミア傾向、内受容感覚の鈍さ、過剰適応、育った環境、抵抗期での頑張り、慣れ、認知のクセなどの心理的要因がある
- 感情の自覚が弱い人ほど、体や行動にサインが出やすい
- 気づくための7つの方法:①ボディスキャン ②1日3回のチェックイン ③感情ラベリング ④書く ⑤バロメーターを決める ⑥他者の目を借りる ⑦ストレスチェック・専門家の活用
- 不調が2週間以上続くとき、日常生活に支障が出ているときは、早めに専門家へ相談する
「ストレスがわからない」ことは、弱さでも欠陥でもありません。これまで、いろいろな場面で頑張ってきたからこそ、自分の気持ちよりも周りを優先する習慣が身についたのかもしれません。
感じる力は、今日から少しずつ育てられます。まずは、1日1分、深呼吸をして、肩や呼吸の状態に意識を向けてみることから始めてみてください。「今日の自分は、どんな感じだろう」と問いかけるその一歩が、あなたのこころと体を守る大きな力になります。
もしひとりで抱えきれないと感じたら、遠慮なく専門家や相談窓口を頼ってください。あなたの「わからない」は、誰かと一緒に探していけるものです。
13. 参考文献・出典
公的機関
- 厚生労働省「令和4年 労働安全衛生調査(実態調査)結果の概況」
- 厚生労働省「令和5年(2023年)労働安全衛生調査(実態調査)結果の概況」(2024年7月公表)
- 厚生労働省「2024年労働安全衛生調査(実態調査)結果」(2025年8月公表)
- 労働政策研究・研修機構(JIL)「労働情報 国内トピックス」(上記調査の解説記事)
- 厚生労働省 働く人のメンタルヘルス・ポータルサイト「こころの耳」
- 厚生労働省 自殺対策「まもろうよ こころ」
学術文献
- Selye, H. (1936). A syndrome produced by diverse nocuous agents. Nature, 138, 32.
- Lazarus, R. S., & Folkman, S. (1984). Stress, Appraisal, and Coping. Springer.
- Sifneos, P. E. (1973). The prevalence of “alexithymic” characteristics in psychosomatic patients. Psychotherapy and Psychosomatics, 22, 255–262.
- Bagby, R. M., Parker, J. D. A., & Taylor, G. J. (1994). The twenty-item Toronto Alexithymia Scale—I. Item selection and cross-validation of the factor structure. Journal of Psychosomatic Research, 38(1), 23–32.
- Taylor, G. J., Bagby, R. M., & Parker, J. D. A. (1997). Disorders of Affect Regulation: Alexithymia in Medical and Psychiatric Illness. Cambridge University Press.
- Craig, A. D. (2002). How do you feel? Interoception: the sense of the physiological condition of the body. Nature Reviews Neuroscience, 3(8), 655–666.
- Pennebaker, J. W., & Beall, S. K. (1986). Confronting a traumatic event: Toward an understanding of inhibition and disease. Journal of Abnormal Psychology, 95(3), 274–281.
- Lieberman, M. D., et al. (2007). Putting feelings into words: Affect labeling disrupts amygdala activity in response to affective stimuli. Psychological Science, 18(5), 421–428.
- Kabat-Zinn, J. (1990). Full Catastrophe Living. Delacorte Press.

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